愛媛なでしこL昇格へ中田が引っ張る

 2011年のW杯優勝で一気に花開いた女子サッカー人気。国内リーグが盛り上がりを見せる中、四国では「愛媛FCレディース」が、なでしこリーグ昇格に向けて強化を進めている。チームの中心はFW中田麻衣子(29)。かつて岡山湯郷でプレーし、オールスターにも2度選ばれた人気選手だ。愛媛FCレディースが所属する「チャレンジリーグ」は、4月上旬に開幕予定。中田は「チームは成長している。昇格は不可能ではない」と意気込みを語った。

 四国でも女子サッカーを盛り上げたい‐。中田の熱い思いが、言葉に詰まっていた。

 「とりあえず1回、試合を見に来てほしいんです!」

 チームメートから「マイコさん」と呼ばれる愛媛FCレディースの絶対的エース。スピードを生かしたプレーとリーダーシップ、そして魅力的な笑顔で、なでしこリーグ昇格を目指すチームをグイグイと引っ張る。

 一度は引退を決意した。所属していた岡山湯郷で出場機会が減った08年。シーズン終了後に退団を決め、故郷の仙台に帰ろうと考えていた。

 そんな折、近所の小学生にサッカーを指導する機会があった。「子どもたちに教えていたら、もう少しサッカーを勉強したくなったんです」。

 気持ちが傾きかけたところで、愛媛FCと提携する愛媛女子短大(現環太平洋短大)から「指導者資格取得の勉強をしながら、若手に経験を伝えてほしい」と誘いを受けた。引退は撤回。愛媛でのプレーを選んだ。

 2年間の短大生活で、スポーツ関係の資格を7つ取得した。人体構造なども研究し、サッカー選手としての幅が広がった。11年にはサッカー部の在学生やOGを中心に「愛媛FCレディース」が誕生。同年の四国リーグを制し、チャレンジリーグ昇格も果たした。

 想像もしていなかった“大事件”もあった。同年の7月に、女子日本代表がW杯で優勝。日本列島になでしこブームが巻き起こった。代表メンバーには湯郷時代のチームメートのMF宮間、GK福元がいた。

 「なでしこジャパンの選手たちには感謝の気持ちでいっぱい。おかげで私たちへの応援も増えましたから」

あえて厳しく とはいえ、女子サッカーを取り巻く環境は依然厳しい。中田も昼間は一般企業で働くOLだ。午前8時から午後5時まで勤務し、休む間もなく午後7時から約2時間の練習をこなす。ハードな毎日だが「だれに頼まれたわけでもない。自分が好きでやっていることだから全然、苦ではありません」と笑った。

 チャレンジリーグ1年目の昨年は、12チーム中7位。目標に掲げていた6位には届かなかった。在学中の選手が多い若いチーム。昨年まで主将を務めた中田は「まだまだプレーに妥協がある」と、あえて厳しい言葉を投げかける。

 開幕まで厳しいトレーニングが続く。注目度の高まりとともに、リーグの技術レベルも向上。勝ち抜くのは決して容易ではない。それでも「なでしこリーグに昇格したいという気持ちを全員が持つことが大事」と中田。さらに「決して不可能なことではない」と続けた。その目はしっかりと、大きな夢を見据えている。

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