鳥栖 九州勢32大会ぶり天皇杯4強
「サッカー天皇杯・準々決勝、鳥栖2‐0川崎」(22日、ベアスタ)
鳥栖が延長戦の末に2‐0でリーグ戦3位の川崎を下し、九州勢としては1981年度の新日鉄以来32大会ぶりの4強入りを決めた。準決勝は29日に行われ、鳥栖は日産スタジアムで横浜Mと、FC東京と広島が国立競技場で対戦する。
鳥栖がクラブ史上初、九州勢32大会ぶりの4強入りを決めた。「選手たちが新たな歴史を築いてくれた。彼らを誇らしく思う」。尹晶煥監督は快挙を成し遂げたイレブンを笑顔でたたえた。
0‐0の延長前半10分、MF高橋が自陣ゴール付近で与えた相手FKのこぼれ球を拾うと、左サイドをドリブルで突破。マークについた元日本代表MF稲本を振り切り、約60メートルを駆け抜けた。MF藤田からDF丹羽とつなぎ、右足で先制。「うちは全員走ることができる。延長でもああいう展開なら勝てると思った」。鮮やかなカウンターで均衡を破った丹羽は胸を張った。
延長後半7分には、再びカウンターからMF水沼が追加点。ハーフウェー付近からドリブルで持ち込んでシュートを放った。毎年1月の初練習は鳥栖市の朝日山(標高133メートル)登山。シーズン中の練習でも紅白戦後にシャトルランをこなす。「走る」ことに重点を置いて鍛えてきた成果を、大一番で発揮した。
サポーターも大喜びだ。試合後、スタンドに松任谷由実の「恋人がサンタクロース」の替え歌が響き渡った。♪恋人はサガン鳥栖、俺たちのサガン鳥栖、国立へ連れて行って~。冬空を歓喜の色に染めた。
頂点まであと2勝。人口約7万人の小さな街のクラブが、悲願の初タイトルへ突き進む。