大久保、驚弾宣言!父の一周忌に吉報
大逆転のブラジル行きだ!ブラジルW杯に臨むサッカー日本代表登録メンバー23人が12日、発表され、2012年2月のアイスランド戦以来、代表から遠ざかっていたFW大久保嘉人(31)=川崎=が選出された。ザッケローニ体制下での招集は同戦での一度きりだが、昨季J1で得点王に輝くなど結果を出し続けてきた。昨年他界した父・克博さん(享年61)の一周忌のこの日に吉報を受けたストライカーは、ブラジルでの躍動を誓った。
わき上がる感情に身を委ね、大久保は吼(ほ)えた。運命の会見。「オオクボ」の名前が呼ばれると、ACLのFCソウル戦(14日・ソウル)に向け、羽田空港に移動中のチームバスは川崎イレブンの雄たけびで揺れた。
「声に出して喜びました。良かったです。Jリーグで点を取り続けてここまできた。(選ばれた理由としては)そこだけかなと思う」。その表情は晴れ晴れとしていた。
“男の約束”を果たした。ちょうど1年前の昨年5月12日。長く闘病生活を続けていた父・克博さんが天国へと旅立った。「ミミズがはったような字やった」という最後の手紙には「嘉人、サッカー頑張れよ」と書かれていた。もう一度代表に‐とは生前父と交わした約束。「嘉人、良かったなと言ってくれると思う」と喜びをかみしめた。
右腕で渋い輝きを放つ腕時計は、亡き父の形見。「もともとは俺があげたヤツなんやけどね。腕時計するの嫌いやけど、これはずっとつけることにした」。昨季、得点王を決めた最終節も母・千里さんが克博さんの遺影を持ってスタンドに駆けつけた。「優しかった」という父は、今も大久保自身の中で生き続けている。
発表前日には地元・福岡に眠る父の墓前に立った。「選ばれるかな。選ばれるといいな」と父に語りかけた。運命の日が、命日と重なったことも「たまたまでしょ」と豪快に笑い飛ばすが「お父さんもこの日に選ばれることを願っていた?そうでしょうね」。照れながら語る表情は、どこか誇らしげだ。
「自分はサプライズで選ばれたから、もっともっと頑張らないといけない。(起用位置は)どこでもいいし、やれる自信がある。ワクワクさせるようなプレーで得点に絡みたい」。ザックジャパンのラストピースが、日本に歓喜をもたらす。