柿谷、中断前J最終戦不発もW杯で輝く
「J1、浦和1-0C大阪」(17日、埼玉)
中断前最後のリーグ戦7試合が各地で行われ、C大阪は敵地で浦和に0‐1で敗れ、リーグ戦2連敗となった。ブラジルW杯日本代表FW柿谷曜一朗(24)は無得点に終わったが、日本代表では1トップに入り、本来の姿を取り戻す。浦和は勝ち点29とし、大宮と引き分けた鳥栖を抜いて首位に浮上した。
W杯を前に、勝利とゴールという置き土産を残すことはできなかった。かつてC大阪でプレーした日本代表FW香川真司(マンチェスターU)、同FW清武弘嗣(ニュルンベルク)も観戦に訪れた中断前最後の一戦で、日本代表FW柿谷曜一朗はシュート1本でノーゴールに終わり、チームもリーグ戦2試合連続無得点で2連敗。「勝って終わりたかったのに申し訳ない。決定的な仕事ができなかった」と肩を落とした。
チームは昨季までの攻撃サッカーをどこかに置き忘れてしまった。ポポビッチ監督はこの日も柿谷を2列目の右サイドでプレーさせた。布陣の並びこそ3‐4‐3だが、守備時には5‐4‐1となり、ウルグアイ代表FWフォルランを一人前線に残して9人で守りを固めるという超守備的戦術。柿谷も対面の浦和DF槙野やMF宇賀神に対して、時には最終ラインまで下がって守備に追われた。そんな背番号8の姿に、視察に訪れた日本協会の原博実専務理事も「(攻守が)逆だよな」とため息をつくしかなかった。
たとえボールを奪っても低い位置から攻撃が始まるため、自己最多の21得点を挙げた昨季に何度も見せた、DFラインの裏への飛び出しなど当然、出しようもなかった。
1トップでプレーする代表とのポジションの違いを問われた柿谷は「サッカーなんでやることは変わらない」と一切の言い訳をすることはなかった。柿谷自身は与えられた役割を忠実にこなしているのだが、持ち味を生かし切れない起用法では、13試合で1得点という数字も無理もない。
一方、ポポビッチ監督は午後2時開始という試合時間に苦言を呈し、後半に相手選手が痛んだ場面で治療のためボールを外に出したフェアプレーに対して「勝利へのこだわり、執着心が足りない」と断じる始末だ。
「13番(南野)と8番(柿谷)を自陣深くに押し込み、10番(フォルラン)と分断する」という浦和ペトロビッチ監督の術中にはまり、効果的な手を打てず、いたずらに時間だけを浪費した。
試合後にはサポーターから柿谷へ、W杯に向けた激励の寄せ書きが集められたC大阪の旗が贈られた。国内合宿(鹿児島・指宿)はいよいよ21日から始まる。原専務理事が「代表に来れば良くなるんじゃないか」と楽観視したように、1トップに入り、日本代表FW本田圭佑(ACミラン)や香川とプレーすることで、柿谷が本来の姿を取り戻すことが期待される。