香川悲しきデビュー戦「悔しいです」
「ブラジルW杯・C組、日本1-2コートジボワール」(14日、レシフェ)
夢舞台で放つはずだった輝きは、深い闇を持つレシフェの夜空に吸い込まれてしまったようだった。「悔しいです。何か、言葉にならないですけど」。声を震わせた日本代表FW香川にとっては、残酷なW杯デビューとなった。
何度相手を追いかけて背走したことだろうか。試合を通じてコートジボワールに押し込まれ、守備に奔走。FW本田の先制点にこそ絡んだものの、86分間の出場で放ったシュートはゼロ。前線からの守備がはまらず、本来の攻撃的な動きは完全に鳴りを潜めた。
この舞台を待ち望んでいた。W杯のピッチで聞く国歌。「やっとこのときが来たんだと感じました」。それでもチームの歯車が狂いだすと、窮状を救うことができないもどかしさ。「初戦の大事さは意識していた。このために調整してきましたし、これでこの出来ならば、それが自分の実力なのかなと」‐。背番号10の重みがずしりと双肩にのしかかる。
だが、これで終わるわけにはいかない。残り2戦。道は険しいが失地回復の余地は残っている。「あと2試合ある。諦めたくないし、やっぱり次へ向けてやるだけなんで。こんな形で終わりたくない。開き直れる?そうですね」。そう語る香川の目には炎が宿っていた。