大久保、香川に愛の説教風呂でゲキ

 「ブラジルW杯・C組、日本-ギリシャ」(19日、ナタル)

 サッカー日本代表FW大久保嘉人(32)=川崎=が17日(日本時間18日)、1‐2で逆転負けした1次リーグ初戦のコートジボワール戦で不調だったFW香川真司(25)=マンチェスター・ユナイテッド=に、“愛のムチ”を振るっていたことを明かした。試合翌日の入浴中にゲキを飛ばしたもので、キーマンの復調を願い、ギリシャ戦の必勝を期した。

 浴場には笑い声が響いていた。試合会場のレシフェから拠点のイトゥへ戻った敗戦翌日。疲労回復のため、宿舎内のジェットバスと水風呂を交互に行き交う“温冷交代浴”を行っている最中、大久保は香川にけしかけた。

 「お前、全然ダメだったけど、落ち込むなよ!!」

 香川にとって、待ち望んだW杯デビュー戦はシュート0本。チームも1‐2で逆転負け。沈滞ムードの中、あまりにも直接的な表現には、大久保なりの意図があった。

 「笑って終われればいい。(コートジボワール戦は)もう返ってこない。ギリシャ戦でやれれば問題ない。切り替えることが大事で、短期決戦で引きずることは絶対に駄目だから。チームにとってもマイナスを与えるから」

 ともに交代浴を行っていたGK川島、DF長友、MF長谷部からも笑い声が漏れたメッセージ。大久保は、C大阪時代の同僚で、弟分でもある香川の落ち込みに気づいていた。失敗を水に流すことで、失意のエースの表情もほぐれていた。

 「アイツはいつもなら自信満々だけど、何かあったら顔に出る。(言葉も)敬語になっちゃうし…。あっ、コイツ今、自信ねぇなって。そういうサインがあるんよ」

 豪放磊落(らいらく)な大久保だが、若いころは自らのミスを引きずっていたという。そのたびにC大阪時代の先輩、元日本代表FW西沢明訓らに“愛のムチ”を入れられた。

 「今は全然だけど、俺も昔は気が弱かったからね。放っておかれて気を使われるより、笑って終わらせる方が絶対いいから」

 滑り込みでW杯メンバー入りした32歳のベテランは、ピッチ内外でさまざまな働きを見せている。反省は忘れない。でも、後悔したまま、次の戦いへと赴かせるわけにはいかない。「真司も笑っていた。次はアイツ、やりますよ」。そう語る大久保の言葉には、どこか説得力がある。

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