前橋育英“5度目の正直”4強の壁突破
「全国高校サッカー選手権・準決勝、前橋育英1(5PK4)1流通経大柏」(10日、埼玉)
準決勝が行われ、12日の決勝(埼玉スタジアム)は前橋育英(群馬)-星稜(石川)の組み合わせに決まった。ともに勝てば初優勝となる。星稜は、日大藤沢(神奈川)を3-0で下し、大会直前に交通事故で負傷した河崎護監督(55)不在の中、2大会連続の決勝進出。日本代表FW本田圭佑(28)=ACミラン=在籍時と、昨年も達成できなかった頂点に挑む。前橋育英は、流通経大柏(千葉)に対して後半終了間際に1-1の同点に追い付き、PK戦を5-4で制して初めて決勝へ駒を進めた。
黄色と黒の縦縞を身にまとう“上州の猛虎軍団”が、立ちはだかってきた「4強の壁」をついに食いちぎった。PK戦。最後のキッカーMF坂元が冷静に右スミに蹴り込み、勝利が決定するとイレブンは歓喜のガッツポーズ。前橋育英にとって5度目の準決勝で、初の決勝進出。就任32年目の山田監督は「途中まではまたここでやられるのかと思った。意地を見せてくれた」と、目を細めた。
奇跡の扉をこじ開けたのは、主将の一撃だった。0-1の試合終了間際、クロスのこぼれ球にMF鈴木主将(3年)が反応。トラップから右足を振り抜くと、相手DFに当たりコースが変わったボールはそのままゴールへ。「入れ!と思って蹴った。その後は覚えてない」。身長167センチと小柄ながら、U-19日本代表にも選出される鈴木は「歴代の先輩たちが越えられなかった壁を自分たちが越えられた。すごくうれしい」と胸を張った。
頂点まであと1勝。現3年生は、2年前、クラスメートの高橋光成投手(現西武)を擁した野球部が、夏の甲子園で全国制覇した姿を目に焼き付けている。クラスでは高橋の隣の席だったという主将は「ここまできたら僕らも優勝して、監督を胴上げしたい。自分たちの力を出せば、結果はついてくる」と自信たっぷりに言い切った。