日本サッカー協会は１３日、アルガルベ杯（３月４日開幕、ポルトガル）に臨むサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」のメンバー２２人を発表した。連覇の懸かる６月のカナダＷ杯に向け、最終テストとなる場だが、佐々木則夫監督（５６）は、男女通じて史上初の６大会連続のＷ杯出場を目指すＭＦ澤穂希（３６）＝ＩＮＡＣ神戸＝を招集せず、「現時点でのベストメンバーを選んだ」と発言。澤のＷ杯落選が現実味を帯びてきた。

　佐々木監督が「現時点でのベストメンバー」と話す選手の中に、澤穂希の名前はなかった。

　アルガルベ杯はＷ杯前哨戦といっていい最終テストの場。今回発表の２２人と、直前の負傷のためメンバーから外れたＦＷ岩渕（バイエルンミュンヘン）を加えた２３人が、現時点でのＷ杯メンバー登録枠２３のベースになる。指揮官は「これが１００（％）ではない」と含みを持たせたが、澤の６大会連続Ｗ杯出場に黄信号がともった。

　昨年５月以来、代表から外れている澤について問われると、佐々木監督からいつも軽妙な声色が消えた。「他にも選考していない選手がいる。１選手だけをコメントするのはフェアじゃない。控えさせていただく」

　昨年１０月のカナダ遠征のメンバー発表の際には「パフォーマンスを上げてほしい」「特別扱いはしない。国内と欧州組でボランチで試したい選手がいる」など落選の理由を説明していた。それだけに、Ｗ杯が近づき、澤の処遇をめぐって、デリケートになっていることがうかがえた。

　背番号１０が欠番の理由については「以前と変わらない」と昨年１０月同様、澤の実績を考慮してのことと打ち明けた一方で「最後の最後でナンバー１０をつけるのは誰かということになる」と、意味深な言葉を残した。

　澤は昨年末に右膝を負傷しており、状態を考慮された可能性もあるが、いずれにしても逆転選出へはもう国内リーグ戦で完全復活をアピールするしかない。日本女子サッカー界のレジェンドが、崖っぷちに立たされた。