武藤V弾 ハリルも移籍も気にしない?
「J1、湘南0-1FC東京」(12日、BMWス)
FC東京はFW武藤嘉紀(22)が視察に訪れた日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(62)の前で決勝ヘッドを決め、1-0で湘南を下した。FC東京は勝ち点を11に伸ばし、川崎と1-1で引き分けた浦和と首位で並んだ。G大阪はFW宇佐美貴史(22)の2得点で清水を下し、3連勝で3位に浮上。名古屋は広島に快勝し、今季初勝利を挙げた。
圧巻の勝負強さだった。0-0の後半19分、FW武藤はDF太田の左クロスに倒れ込みながら頭で合わせてネットを揺らした。チームを05年第4節以来の首位に引き上げる決勝弾は、視察に訪れた日本代表ハリルホジッチ監督の眼前で決めた初めてのゴールだった。
「全然意識することなくいつも通り泥くさいプレーができた」と、代表指揮官の視線も意に介することはなかった。それでもアギーレ前監督が視察した試合では3戦5発を決めた勝負強さは健在だ。
献身性は数字にも表れた。Jリーグのトラッキングシステムによると走行距離11・79キロ、スプリント(時速24キロ以上で走った)回数35回はいずれもチーム最高。「FC東京のために」という自身の言葉を体現して見せた。
英プレミアリーグの強豪チェルシーからの正式オファーが表面化してから最初の一戦。「いろんな雑音やプレッシャーがあるが、チームのことだけ考えた」と淡々と振り返った。チェルシーへの回答期限が12日という一部報道に対しては、「まだ試合が終わったばかりで何も考えていないし結論も出していない。どこに行けば成長できるか考えていきたい」と話すにとどめた。
得点王を目標に掲げた今季、ここまで5戦4発で得点ランク2位タイと数字を積み重ねているが「納得はしていない」。「試合数より得点数が上回ればFWとしてまた一つ素晴らしい選手になれる」とさらに上を見据える。去就をめぐる喧騒(けんそう)に身を置きながらも、武藤が歩みを止めることはない。