澤指名!次世代を背負うエースは岩渕
サッカーの女子W杯カナダ大会で準優勝した日本代表「なでしこジャパン」が7日、帰国した。成田空港では出迎えたファン約500人に拍手でねぎらわれた。自身にとって最後のW杯と明言していたMF澤穂希(36)=INAC神戸=は、FW岩渕真奈(22)=バイエルン・ミュンヘン=を後継者に指名。「これから代表を背負っていってほしい」と熱い口調で語った。
系譜は受け継がれていく。日本の地を踏んだ澤は、準優勝に終わった戦いを「悔しい気持ちもあるけど、みんなが力を出し切った結果。現実を受け入れないといけない」と静かに振り返った。
95年6月、16歳でW杯スウェーデン大会に初出場。今回の自身6度目のW杯でも「チームを思う気持ちは変わらなかった」。4年前の絶対的エースだが、ベンチスタートも多かった。「今までと役割が全く違ったが、先発の11人が良い状態で臨めるようにサブの人やスタッフが支えているとあらためて感じた」と多角的な視野を得た。
蓄積した経験。その澤が後継者に指名したのが岩渕だ。「これから代表を背負って、中心にいないといけない選手。前回大会も、今回も一番年下でやってきた分、他の選手よりも経験がある。これを生かしていってくれればと思う」とエールを送る。前回大会は18歳でメンバー入りし、今回は準々決勝のオーストラリア戦で決勝点を決めるなど、次世代を背負うエースの覚醒を感じている。
プレースタイルこそ異なるが、澤は15歳で代表入りし、早くから日の丸を背負うなど、なでしこジャパンを支え続けてきた。その経緯から、岩渕と自らを重ね合わせた。
ただ、来年のリオデジャネイロ五輪も含めて、代表としての自身の去就に関しては明言を避けた。「今日、帰ってきたばかりで次のことは正直分からない」。それでも、近い将来、岩渕が自身に続くなでしこのシンボルになることには確信を持っている。
「週末(12日)にはリーグ戦(プレナスなでしこリーグ)も始まる。次は所属チームで経験したことを若い選手に伝えたい」。澤は『生きる伝説』として、若手の模範としてもまだまだ走り続ける。