川崎・大久保、ゴン超え俺が先ダ~ン

 「J1、広島2-1川崎」(17日、エディオンスタジアム広島)

 ストライカーの哲学が詰まっていた。0-1の後半38分。川崎のFW大久保嘉人(33)がエリア外から右足を振り抜いた。「どこからでも狙うのが自分のスタイル。ミートはしなかったが、シュートを打てば何かが起こる可能性があるのがサッカー」。アウトサイドでこすったボールは、目の前のDFの横を抜けると逆方向へと急スライド。相手GK林の逆を突き、ゴールに吸い込まれた。

 これがJ1通算155得点目。直近の公式戦は7戦9発で、リーグでは5戦7発と量産モードに入っている。中山雅史が持つJ1最多記録まであと2点に迫り、最多記録に王手をかけている広島FW佐藤寿とも1点差。大久保は「2人で争えていることはうれしく思う」とうなずいた。

 だが、心の底からは喜べない。チームは終了直前に勝ち越しを許して、年間勝ち点で3位のFC東京との6差を縮められなかった。残り3試合でCS出場は難しくなり「今日はチームが誰が決めても良かった」。MF中村憲も「とにかく悔しい敗戦」と唇をかんだ。

 子宮の病気と闘う妻・莉瑛さんはこの日、一時退院。大久保は試合後、家族の待つ自宅へ急いだ。視界良好の3年連続得点王と、奇跡を目指すチームのCS進出。2つのタスク達成へ「次、チームが勝つゴールを決められれば」。立ち止まるつもりはない。

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