「天皇杯・準々決勝、Ｇ大阪３－１鳥栖」（２６日、万博記念競技場）

　準々決勝４試合が行われ、２連覇を狙うＧ大阪は２４日に長女が誕生したＦＷ宇佐美貴史（２３）の２ゴールなどで鳥栖を３－１で下して４強入りした。Ｊ１覇者の広島は途中出場したＦＷ浅野拓磨（２１）の２ゴールでＦＣ東京に逆転勝ち。浦和と柏も準決勝に進んだ。２９日の準決勝はＧ大阪－広島、浦和－柏のカードとなった。

　大事な試合で逃さず決める。宇佐美がエースの使命を果たし、チームを４強へ導いた。２４日に第１子である長女が誕生。父としての初陣であり、万博の最終戦という記念づくしの一戦を、２ゴールと勝利で飾った。

　前半２６分、相手の裏に抜け出した宇佐美が、ＭＦ倉田のロングパスを右足トラップ。素早く左足を振り抜き、３カ月ぶりのゴールを奪って先制した。

　同点の後半３１分には、ゴールネットが外れるアクシデントで試合が約７分間中断。「粋ないたずら」と宇佐美が振り返ったように、それまで鳥栖ペースだった流れは止まった。再開直後の３４分、倉田→長沢→宇佐美と素早くつながり、左足でズドン。鮮やかな勝ち越し点が決まった。

　試合後は「娘にささげられてよかった」と話したものの、ちょっぴり照れくさそうだった。というのも、チームメートに囲まれながら満面の笑みで舞ったゆりかごダンスは、周囲から「お前が決めてやれ」と言われたとおりの“有言実行弾”だったが、「本当は自分じゃなくて誰かが決めたゴールで、みんなに紛れてやりたかった」と苦笑いで明かした。

　９３年のＪリーグ創設時から２２年間使用してきたスタジアムは、大歓声に包まれて終演。１歳半から応援で声をからし、選手として汗を流し続けた愛着のある場所だけに「最後、このスタジアムが力を貸してくれたのかな」。復活を印象づける華麗な２発。ラストステージの主役は紛れもなく宇佐美だった。