手倉森ジャパン辛勝発進!植田千金V弾
「サッカー・U-23アジア選手権、日本1-0北朝鮮」(13日、ドーハ)
サッカー男子の五輪最終予選を兼ねたU-23(23歳以下)アジア選手権で日本は1次リーグB組の初戦に臨み、北朝鮮を1-0で下して白星発進となった。前半5分に右CKをDF植田直通(21)=鹿島=が右足で合わせて先制。1-0で折り返し、後半は堅守でしのいだ。日本は6大会連続10度目の本大会出場を目指し、次戦は中2日で16日にタイと対戦する。
五輪への第一歩を記すゴールは意外な“伏兵”が刻んだ。開始5分、DF山中の右CKをファーサイドで待ち受けたフリーのDF植田が、丁寧に右足ボレーで合わせた。自身の手倉森ジャパンの公式戦初ゴールは、そのまま値千金の決勝弾になった。「初戦は堅い試合になると分かっていたので、セットプレーは狙っていた。点を取れてよかった」と胸を張った。
植田は3年間のプロ生活で公式戦わずか1得点だったが、大一番で勝負強さを発揮。中学時代にはテコンドーで日本一にも輝いたことのある“武闘派DF”だ。6日の親善試合シリア戦後には「すぐに倒れるヤツばかり」と相手をあざ笑うほど好戦的な性格。本職の守備では「自分がはね返すしかないと思っていた」と186センチの長身を生かし、闘争心をむき出しに空中戦で相手のロングボールを阻み続けた。
試合2日前の11日には、手倉森監督の就任以来初となる非公開練習で入念にセットプレーを確認。アシストの山中は手倉森監督が「チームの宝」とまで称する、チーム唯一の左利きで「キックの精度には自信がある。セットプレーはキッカーの質で決まる。勝ち点3が取れてホッとしている」と振り返った。
観客席には、1000人超の北朝鮮応援団が詰め掛け、バックスタンドの半分近くを占拠。“喜び組”ではなくほぼ全員が男性で、手拍子や野太い歓声で日本を威圧。アウェーさながらの雰囲気を作り出し、非日常感にあふれた初戦となったが勝利につなげた。
五輪が23歳以下の出場制限となった92年バルセロナ五輪以降、日本は最終予選初戦に勝利すれば必ず五輪切符を手にしている。「次も勝ちに行くだけです」と主将MF遠藤。苦しみながらつかんだ船出の勝利を、リオへの切符へとつなげる。