原川劇弾でリオ決定「ドーハの歓喜」
「サッカー・U-23アジア選手権・準決勝、日本2-1イラク」(26日、ドーハ)
日本はイラクを2-1で破り、3位以内が確定して6大会連続10度目の五輪出場を決めた。日本は前半26分にFW久保裕也(22)=ヤングボーイズ=のゴールで先制。前半終了間際に同点に追い付かれたが、後半ロスタイムにMF原川力(22)=川崎=が勝ち越しゴールを決めた。1次リーグから5連勝でリオ行きを果たし、30日の決勝に進んだ。
延長戦突入かと思われた後半ロスタイム、劇的なゴールが日本に生まれた。MF原川が左足を振り抜き、ゴール右へミドルシュートを突き刺した。値千金の“サヨナラ弾”。6大会連続の五輪へチームを導いたヒーローは仲間の歓喜の輪の中でもみくちゃにされた。
120分間の死闘を演じた準々決勝イラン戦から中3日。先発メンバーには左脚付け根に違和感を訴え、別メニュー調整が続いていた主将のMF遠藤を起用し、右股関節付近に炎症を起こしていたFW鈴木を3試合ぶりに先発復帰させた。
先制のゴールネットを揺らしたのはFW久保だった。前半26分、鈴木の左からのクロスに滑り込みながら右足を合わせた。チーム唯一となる5試合連続出場の絶対的エースが今大会3得点目。「中東なので守備はルーズになってくる。チャンスは来る」と話していた背番号11は雄叫びを上げながら仲間が待つベンチへ走った。12年のU-19アジア選手権準々決勝で敗れ、U-20W杯出場の夢を断たれた因縁の相手から、当時は決められなかったゴールを奪った。
しかし、そんな久保の先制弾も簡単には勝利に結びつかない。前半終了間際の43分、CKのピンチから鈴木がクリアミス。DFサードのヘディングをGK櫛引が一度は弾き返したが、再び頭でサードにねじ込まれ、同点に追い付かれた。
後半も一進一退の攻防を繰り広げた。しかし、五輪切符を目指す日本の執念が土壇場でイラクを上回った。手倉森誠監督は「しびれた。出来過ぎなぐらいのシナリオだ。彼らはおとなしい世代だが、いつかやってやるという気持ちが実を結んだ。神様からのプレゼントだと思う」と喜び、「これからもっと日本は強くなる。使命感を持って鍛え上げたい」と言葉に力を込めた。
原川は山口・鴻南中時代は久保と同級生だった。値千金のゴールに「ほっとしています。苦しい時間も多かったが、みんなで耐えられたことが勝因。(決勝点は)枠に入ってよかった」と興奮を隠しきれなかった。