窮地のなでしこへ澤さんが喝

 「サッカー女子・リオデジャネイロ五輪アジア最終予選、日本-中国」(4日、キンチョウスタジアム)

 昨年限りで現役を引退した元日本代表MF澤穂希さん(37)が3日、堺市内で行われた女子日本代表「なでしこジャパン」の練習を電撃訪問した。2日の韓国戦で引き分けに終わり、自力での五輪出場権獲得が消滅したなでしこに対して「本当に負けられない気持ちでやっている選手が何人いるのか」などと厳しい言葉を並べながらも、「まだ終わった訳ではない。死に物狂いで戦ってほしい」とエールも送った。4大会連続5度目の五輪出場を目指す日本は、4日に中国戦を迎える。

 窮地のなでしこを“レジェンド”が電撃訪問した。テレビ中継のゲスト出演のため大阪入りしていた澤さんは、スケジュールの都合がつき「みんなの顔を見に来ました。元気を与えられるのであれば」と、急きょ激励に駆け付けた。

 澤さん不在のなでしこは2試合で勝ち点1の5位に沈み、自力突破が消滅した。初めてピッチ外から見る最終予選について「本当に負けられない気持ちでやっている選手が何人いるのか。遠慮や他人任せのところが感じられた」と、もどかしさを感じさせながら厳しい言葉を並べた。

 主将の重責を抱える宮間に対しては「責任感が強いので自分を追い詰めないでほしい。“重いリュック”をみんなに持ってもらえれば」と気遣った。練習後に澤さんと言葉を交わしたという宮間は“金言”の内容について「心にとどめておかせて下さい」と明かさなかったが、「情けない試合は見せたくない。『よくやった』と言ってもらえる試合を」と言葉を絞り出した。

 4大会連続の五輪出場は遠くかすんでいるが、中国戦に勝ち、同時刻に行われるオーストラリア-韓国戦で韓国が引き分け以下に終われば、再び日本の自力突破が復活する。全ては残り3試合全勝が大前提となる。

 「女子サッカーの歴史を途絶えさせてほしくない。まだ、チャンスはあるので死に物狂いで戦って、せめて見ている人の心に響くプレーを見せてほしい」と訴えかけた。なでしこを思うがゆえの檄(げき)。澤さんの願いは、選手の心に響いたはずだ。

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