日本サッカー協会は１４日、リオデジャネイロ五輪に出場するＵ－２３日本代表のポルトガル遠征（２１～３０日）メンバー２２人を発表し、オランダ２部ドルトレヒトに所属するＤＦファンウェルメスケルケン際（さい＝２１）を初選出した。左右両サイドバック（ＳＢ）をこなす“隠し玉”が、ＳＢの負傷者が相次ぐ手倉森ジャパンの救世主となる。日本は２５日にＵ－２３メキシコ代表と、２８日にポルトガル１部スポルティングと対戦する。

　サイドバックに負傷者が相次ぐ手倉森ジャパンの救世主となれるか。手倉森監督がオランダ２部ドルトレヒトで研さんを積む新星を初選出した。

　室屋（ＦＣ東京）が２月に左足を骨折、松原（新潟）も右膝外側半月板損傷で手術を受け、ともに全治３カ月と診断された。１月の最終予選に出場した右ＳＢ２人が長期離脱する緊急事態を受け、指揮官は最終予選前から把握していた、際の映像をチェック。「ものすごく興味がわいた」と招集に踏み切った。

　オランダ人の父と日本人の母を持つ際は、高校卒業後に単身オランダへ渡った。左右両サイドバックに加え、サイドハーフとボランチもこなし、今季は２１試合に出場して１得点を挙げている。Ｊ１甲府の下部組織時代には俊足を生かしてＦＷとしてもプレー。ロングスローも得意としており、手倉森監督は「代表が武器として持たなかった部分を可能性として落とし込んでくれる」と期待を寄せた。

　五輪本大会の登録メンバーは１８人に絞られる。ＳＢの枠は通常３人の編成となるため、手倉森監督が「左右をやれるという条件は非常に大事になってくる」と話すように、際のユーティリティー性は大きな魅力となる。４８年ぶりとなるメダル獲得へ、チームの窮状からチャンスを得た秘密兵器が、新たな可能性を示す。