久保代役は武蔵が有力 所属クラブが派遣拒否…見通し厳しく
日本サッカー協会は27日、スイス1部ヤングボーイズがリオデジャネイロ五輪男子日本代表FW久保裕也(22)を五輪に派遣しないと発表したことを受けて、霜田正浩技術委員が交渉のためスイスに向かったことを明らかにした。しかし、五輪では選手招集に強制力はなく、交渉の見通しは厳しい。久保の不参加が決まった場合は、鈴木武蔵(22)=新潟=の招集が有力とみられる。
五輪本大会を前に、予想だにしなかった事態となった。日本協会によると、26日夜にヤングボーイズ側から欧州チャンピオンズリーグ予選でスウェーデン人FWが負傷したため、久保の五輪への派遣を拒否するとのメールが届いた。ヤングボーイズは公式サイトでも同様の声明を発表した。
寝耳に水の知らせに、日本側としては「承服しかねる」との内容を返信。27日朝にはチームに同行していた霜田技術委員が交渉のため、アラカジュからスイスへ渡ったが、五輪は選手派遣に強制力がなく、“直談判”の見通しは非常に厳しい。
手倉森監督は「大会に向けてのアクシデントの一つ。クラブの事情が優先されるのが五輪。少しでも可能性があるなら待ちたい。彼自身が一番無念だろう」と話した。選手にも状況を説明し、「ここにいるメンバーはより誇りと責任を感じないといけない」と伝えたという。
国際サッカー連盟(FIFA)の登録期限である14日を過ぎていたため、選手入れ替えの理由が認められなければ、17人で大会に臨む可能性も危惧されたが、その後、FIFAから18人に満たない場合は、初戦の24時間前までなら選手の補充が可能との通達があり、最悪の事態は避けられることになった。
補充は予備登録されている選手以外からも選ぶことはできるが、現時点では久保の代役にはバックアップメンバーからFW鈴木の招集が有力だ。ただ、最終予選で唯一全6試合に出場し、チーム最多3得点を挙げたエースを失うことになれば、金メダルを目指す手倉森ジャパンにとって痛手は計り知れない。