G大阪・丹羽“トリックプレー”不発 PK戦最中の陽動作戦実らず
「YBCルヴァン杯・決勝、G大阪1(PK4-5)1浦和」(15日、埼玉スタジアム2002)
浦和の13年ぶり2度目の優勝で幕を閉じた、しびれるようなPK戦の最中、G大阪DF丹羽大輝は乾坤一擲(けんこんいってき)の“トリックプレー”を仕掛けていた。
G大阪が先行で始まったPK戦。3人目のキッカーとして登場した丹羽は、ゴール左隅へとキッチリと流し込んだ。その直後、浦和の3人目のキッカーであるFW興梠慎三へとボールを自ら手渡し、そこで言葉を交わした。試合後の丹羽によると、こんなやりとりがあったという。
「『慎三、思いっきり蹴れよ!』って言いました。『外せよ』っていうのは小学生(レベルのヤジ)でしょ。僕はプロフェッショナルなんで『思い切っていけよっ!』ってね」。だが、興梠は冷静にゴール右隅へと蹴り込み「キッチリ決められましたね。さすがです」と苦笑いで振り返った。
自身がキッカーを務めた際には、浦和サポーターから失敗を誘うブーイングも起き「『丹羽、外せ!』という声も聞こえたんですが『ゆーてるな』ぐらいにしか思わなかった」という。丹羽いわく「外す選手はそこでナーバスになってしまうのかもしれないけど、僕の脳の状態は良かった。あの雰囲気を作ってくれてありがとう、という気持ちさえあった」。以前から心理面の重要性を口にするだけに、工夫を凝らした興梠への陽動作戦だったが、結果は失敗に終わった。
先制しながらも途中で追いつかれ、最後はPK戦の末での悔しい敗戦。それでも丹羽は「悔しさはピッチに置いてきた。この悔しさはピッチでしか晴らせないから」と語る。そして「これが勝負の世界。浦和レッズの関係者には、本当におめでとうと言いたい。僕たちは来週からの試合に向けて、また切り替えていきたい」とすがすがしく話した。