名古屋屈辱…クラブ初J2降格 闘莉王の男気も報われず…

 「J1、名古屋1-3湘南」(3日、パロマ瑞穂スタジアム)

 93年のリーグ開幕時から参戦する10クラブの一つ、名古屋が湘南に1-3で敗れて年間16位が確定し、来季、初めてJ2への降格が決まった。第2S覇者の浦和は横浜Mと1-1で引き分け、年間勝ち点を74として1位を決めた。浦和の年間最多勝ち点の獲得は04、06年に続き3度目。年間優勝を争うチャンピオンシップ(CS)で決勝にシードされる。川崎はG大阪に2-3、鹿島は神戸に0-1で敗れた。川崎が年間2位、第1S優勝の鹿島が同3位でCS準決勝で対戦。神戸のFWレアンドロ(31)、広島のウタカ(32)が19ゴールでともに初の得点王になった。

 チームを救う力は、もはや残っていなかった。闘莉王はベンチに深く座り込むと、タオルで顔をおおい、うつろな表情で天を仰いだ。自責の念とサポーターへの思いを込めて言った。

 「何と言ったらいいのか…。力不足を感じているし、申し訳なく思う。悔しくて、悔しくて…。自分のサッカー人生のいろんないい経験を、きょうの残留に換えても良かった」

 すでに降格が決まっていた湘南にボールを支配された。前半6分、山田のシュートが闘莉王に当たってコースが変わり、ゴール左隅に吸い込まれた。37分には高山に追加点を献上。後半5分にシモビッチがPKで1点を返したものの、痛恨は同15分だった。自陣右サイド深くへのロングボール。処理を誤った闘莉王が背後の山田に奪われ、ゴールを豪快に打ち抜かれた。

 クラブワーストのリーグ18戦連続未勝利など低迷した今季。救世主として期待された闘莉王は8月末に来日し、以後は3勝1分け3敗と持ち直した。ただ酷使してきた体と心は、もう限界だった。

 家族に会いたい気持ちも、胸の奥に封じ込めてきた。ブラジルに残したアリエリ夫人が、9月14日に長女を出産。10月29日の神戸戦の翌日には「笑顔の写真が送られてきたんだ。きのう初めて笑ったらしいよ」と打ち明けた。異国に残した最愛の妻と娘。去就については「整理がつかない。まだ何も決めてない」と明言を避けた。

 最後に口にしたのは、盟友のGK楢崎への思い。「楢さんの涙は、誰にも見せたくなかった。あの人は、こんな悲しい思いや、悔しい思いをしちゃいけない人。本当に申し訳ない。(楢崎の)心が折れてしまうかもしれない」。自らの涙は最後までこらえ、闘将は静かにスタジアムを去った。

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