ハリル監督、聖域なきスタメン改革示唆 サウジ戦本田外しも
「国際親善試合、日本4-0オマーン」(11日、カシマサッカースタジアム)
サッカー日本代表がオマーン代表に4-0で快勝した。 笑顔はなかった。多くの選手を試し、収穫もあったテストマッチ。ただ、試合後の記者会見場に現れたハリルホジッチ監督の表情は渋かった。
「何人かの選手はチャンスを生かし、何人かの選手はチャンスを生かせなかった。多くの情報を得ることができた」。指揮官はそう切り出した。代表復帰のFW大迫勇也(26)=ケルン=は、期待に応える2得点。試合勘を不安視されていたMF清武弘嗣(セビリア)も躍動した。MF永木亮太(鹿島)とFW久保裕也(ヤングボーイズ)はAマッチデビュー。2トップの布陣もテストした。それでも「本当は、この結果を監督としては喜ぶべきなのかもしれないが、足りないことがあった」と90分間を振り返った。
頭痛の種は2つだ。新戦力を積極的にテストしたものの、全体的に技術的なミスを連発。「私に怒りを覚えさせた。A代表はもっと技術をしっかり使って試合をコントロールしないといけない」と注文をつけた。だが、もっと大きな問題はこれまでの代表をけん引してきたFW本田圭佑(ACミラン)の不振だ。
事態は深刻だ。試合のスピードについていけないばかりか、持ち味であったはずのフィジカルでも当たり負けする場面が目立った。本田自身は「とりあえず良し、というような試合。この試合をサウジ戦に生かさないと意味がないが、個人的にはサッカー選手として良い再確認ができた」と自己評価を下したが、低調ぶりは明らかだった。
指揮官も「試合のリズムが足りないことが確認できた。かなりの経験があり、ここでずっと存在感を出してきたのだが…」と語り「誰をサウジアラビア戦でスタートさせるか、考えないといけない」と、同戦での先発落ちも示唆した。
過去、幾度となく大舞台で結果を残してきた金狼。サウジアラビア戦までに復調できるのか-。大勝劇の裏側で、眉間に刻まれた深いシワが指揮官の苦悩を表していた。