鹿島・柴崎の2ゴールが世界を震撼させた “世紀の番狂わせ”あと一歩
「クラブW杯・決勝、鹿島2-4レアル・マドリード」(18日、日産スタジアム)
開催国枠の鹿島(J1王者)が欧州代表のレアル・マドリード(スペイン)に延長の末、2-4で敗れたが、アジア勢最高となる準優勝に輝いた。0-1の前半44分にMF柴崎岳(24)が同点ゴール。後半7分にも一時は逆転となる2得点目を決めたが、最後はレアルFWクリスティアノ・ロナウド(31)のハットトリックなどに沈んだ。ロナウドは通算4得点で大会得点王に輝いた。優勝賞金は500万ドル(約5億9千万円)。2位の鹿島は400万ドル(約4億7千万円)を手にした。
逃した偉業の大きさが、ほんの少しの満足感を塗りつぶした。“白い巨人”を延長まで追い込んだ鹿島だったが、最後に力尽きた。主将のMF小笠原は「俺らは結果を求めてやって来た。勝てなくて残念」とうつむき、石井監督は「ものすごく悔しい」と偽らざる思いを口にした。
それでも、鹿島の10番が刻んだ2発は日本サッカーの歴史を変えた。0-1の前半44分にMF柴崎が左足で同点ゴールを突き刺すと、後半7分には乾坤一擲(けんこんいってき)の左足ミドルで一時はリードを奪った。公式戦でレアルから得点を奪った日本人は史上初。柴崎にとって日産スタジアムは14年9月9日に日本代表として史上28人目の初出場初得点を挙げた思い出の地でもあった。ブロンズボールに輝いたMFは「勝っていれば、もっと喜べた」と表情を崩すことはなかった。
世界が予想だにしなかった2ゴールが、レアルを本気にさせた。「雰囲気、表情、目つきが変わった」とDF昌子が振り返ったように、わずか8分後の後半15分にPKからFWのC・ロナウドに同点とされ、後半の大半は猛攻にさらされた。ただ、昌子は「本気を引き出せたのは良かったが、それが目標ではない」。目指したのは純粋に勝利だけだった。
後半終了間際の決定機をMF遠藤が外し、もつれ込んだ延長で2得点を挙げたC・ロナウドのハットトリックに屈した。
“世紀の番狂わせ”こそ実現できなかったが、Jリーグ年間勝ち点3位から世界2位まで登り詰めた。柴崎は「歴史には優勝したレアルの名前が残るだけ。自分たちの名前を刻みたかった」と言い、昌子は「レアルに勝った鹿島として覚えられたかった」と唇を噛んだが、“カシマ”の名は確かに世界に轟いた。鹿島が演じた熱戦に、6万8742人が夢を見た一夜だった。