横浜M・和司監督解任に選手は不信感「呼んできたのは社長でしょ?」
【2011年12月31日付デイリースポーツ紙面より】
J1横浜Mは30日、木村和司監督(53)の解任と、樋口靖洋コーチ(50)の監督昇格を発表した。29日の天皇杯準決勝でJ2京都に敗れ、今季の全日程が終了。試合後、嘉悦朗社長(56)、下條佳明チーム統括本部長(57)との三者会談で、サッカーの内容に進歩がなかったことなどを理由に解任を通告した。リーグ戦は昨年(8位)を上回る5位だったが、7年連続で無冠に終わっていた。
電撃解任だった。契約期間は残されていたが、突然のリストラ。嘉悦社長は「戦術的な面で一貫したサッカーができなかった。後半悪くなったときに立て直すことができなかった」と、神妙な面持ちで説明した。
リーグ戦では、7月に5年ぶりの首位に立つなど前半は好調。だが、終盤になっても内容に前進が見られなかったことを問題視。同社長は「結果だけ出せば、どんなサッカーでもいいということではない。守ってカウンターだけでは、このリーグで勝っていけない」と話した。
自身の進退については、役員報酬を50%カットした上で来季も続投すると表明。アジア・チャンピオンズリーグの出場権を逃した場合、退任するとしていたが「ケジメはつけないといけないが、いろいろな人から『やめることが責任じゃない』と激励された」と説明した。
木村監督は30日午前、横浜市のクラブハウスを訪れ、選手やスタッフと別れのあいさつを交わした。最後のミーティングにも参加し「タイトルを取らせてやりたかった。ワシらしいサッカーが一つもできなかった」と言い残し、練習場を後にした。
突然の解任劇は選手にも不信感を与えた。ある主力選手は「俺たちにも責任がある。勝っていれば交代はない」と厳粛に受け止めた上で「毎年のように監督が去る悲しい姿を見るのはつらい。(監督を)呼んできたのは社長でしょ?」と苦言を呈した。
来季に向けては「結果を求めすぎると、今年と同じになる」と嘉悦社長。まずはチームの土台づくりを優先する方針を示したが、ここ5年間で6回も監督が交代。迷走気味であることも否定できない。名門復活へ。来季は真価を問われる。