【5大ザックの素顔1】北朝鮮でも散歩
サッカー日本代表が出場するW杯ブラジル大会まで、4日であと100日となった。「優勝を目指す」と公言しているMF本田圭佑を筆頭に、香川真司、DF長友佑都ら個性派集団をまとめるアルベルト・ザッケローニ監督(60)はどんな人物で、どんな思考回路の持ち主なのか。就任前の交渉から間近に接してきた日本サッカー協会・原博実専務理事(55)の証言を中心に、知られざる素顔に迫った。
2011年11月、W杯ブラジル大会アジア3次予選、敵地での北朝鮮戦はいつもとは違う雰囲気だった。出入国は北朝鮮当局の厳しい管理下に置かれ、メディアの数も制限された。そんな中、ザックが宿舎から姿を消した。まさか、事件に巻き込まれたのか…。原専務理事は当時をこう振り返る。
「散歩に行ってたな。イタリアは国交があるからできるんだってな。私たちがやろうとしたら、止められちゃうけどな」
散歩好きは北朝鮮に限ったことではない。ドイツを視察に訪れた際は、日本食店が多いデュッセルドルフの街をブラブラ。国内遠征であっても、大阪や横浜の街をブラブラ。飛行機移動中ですら機内をうろつくといい「クルーたちをつかまえ談笑します」と、監督自身が日本協会の公式サイトで手記につづっている。
訪問先の様子や文化を肌で感じることが一番の理由だが、原専務理事はこんな解釈をしている。
「意外とキャーキャー言われるのは嫌いじゃないと思う。人に写真を撮ってと言われたら応じてたりしてさ」
街角でのサポーターとの触れ合いでザックが感じているのは日本代表の人気だという。イタリアでは代表よりもクラブが重視されており、W杯や欧州選手権のような大きな大会が近づかないと競技場が不入りなこともある。
原専務理事は「イタリア代表よりも日本代表の方がリスペクトされていると思っているみたい」と代弁する。街でザック監督を見かけたら「ボンジョルノ(こんにちは)」と声をかけてみるのもいいかもしれない。