本田PK譲った W杯へ「個」は卒業
「国際親善試合、日本4-2ニュージーランド」(5日、国立)
国際サッカー連盟(FIFA)ランク50位の日本代表は、同89位のニュージーランド代表に4‐2で勝利した。MF本田圭佑(27)=ACミラン=は2アシストで、PKもMF香川真司(24)=マンチェスター・ユナイテッド=に蹴らせた。試合後も個を求める段階を卒業し、W杯での勝利へ、チームの和を磨いていく決意をにじませた。守備面では格下相手に3戦連続2失点。香川が176日ぶりのゴールを決めたことはプラス材料だが、W杯メンバー発表前最後の試合としては不安を残した。
自分のことだけにギラギラしていた本田はいなかった。「明日の記事で本田圭佑が個を求めたと書かれるのは本分ではない」。そう語り始めると、W杯へ、チームのあるべき姿を訴え始めた。
「次のステップへ行くことが求められることを受け止めないといけない。個は当たり前」
前半11分にFKで森重のヘッドをアシスト。前半17分にはゴール正面で左の香川から受けたパスをヒールで前へ送り、岡崎の2点目をアシストした。同7分には香川にPKを譲っており、もり立て役に回った印象すら受ける。
後半だけを見れば0‐1。4点目を取った後は攻撃もペースダウンした。5月上旬のW杯メンバー発表前最後の試合ということもあり、チームメートがアピールしたいと感じている空気を敏感に感じ取った。「ワンタッチの部分を持ったりして、そういうところで流れが(悪い方に)変わった。難しい試合だった」。そういう考えも同じ選手として分かるだけに、微妙な言い回しに終始した。
香川にPKを譲った理由は「真司が活躍して、乗ることで俺に利益がもたらされる」と偽悪的に説明したが、これも考え方によっては、香川の活躍がチーム全体の向上につながらるから、ともとれる。「真司を見たら、俺にいかせてくれという目をしていた。俺は察した。俺も取りたかったけど、真司の欲しさが上回った」と、香川のことを思いやるような発言も出た。
「W杯までいいふうに書かないで。前回ほどではなく」とバッシングを求めたのは、本田らしいところだが、「心配事だらけ」という弱音もあった。W杯へ、本田の心境も少しずつ変わりつつある。