ザッ苦“魔の2分”痛すぎる逆転負け
「ブラジルW杯・C組、日本1-2コートジボワール」(14日、レシフェ)
日本代表は初戦でコートジボワールに1‐2で敗れた。前半16分にFW本田圭佑(28)=ACミラン=が先制ゴールを決めたものの、後半19分、21分の“魔の2分”で逆転を許した。アルベルト・ザッケローニ監督(61)はFW大久保嘉人(31)=川崎=を投入したが戦局を打開できず、封印したはずのパワープレーにも手を出した。誤算続きの末の敗戦で、決勝トーナメント進出が非常に難しくなった。
こんなはずではなかった。現実を受け入れるだけで精いっぱいだった。ザッケローニ監督は「通常のプレーができなかった。原点に戻って、何を今夜したのかを振り返らないといけない」と語った。貫くはずの攻撃サッカーが鳴りを潜めた。
1‐2にされた直後の後半22分に投入されたFW大久保は違和感を覚えた。「4年前の戦い方と一緒。似ているな。(今までと)全く違うチームだな」。攻め切るどころか、守備を優先した南ア大会のようなスタイルを余儀なくされた。
先制し、1点リードで折り返した前半も、実際には再三、カルー、ジェルビーニョ、Y・トゥーレらにサイドを突破されていた。そのたびに山口、長谷部のダブルボランチが体を投げ出してフォローしピンチを脱していたが、後半9分、ザッケローニ監督の「予定通り」に右膝などに不安を抱える長谷部が退くと戦況は悪化した。
相手は高さ、決定力のあるFWドログバを投入。下がり気味の日本は、さらにズルズルと後退した。DF長友は「思っていた以上に相手のボールまわしがうまく、守備がはまらなかった」と悔やんだ。後半19分から2失点した“魔の2分間”は必然だった。
ザッケローニ監督は「前半の最後の20分と後半は、我々が十分に相手に対して攻撃できなかった」と脱帽した。攻める気持ちはあった。だが、それができないほどの圧倒的な実力差があった。試合終了直前には189センチのDF吉田を前線に上げ、ロングパスで攻めるパワープレーを敢行。大型FWを招集せず、一度は捨てた苦肉の策を取るしかなかった。
出場チームが現行の32チームになった98年フランス大会以降で、初戦黒星のチームが決勝トーナメントに進んだのは46例中4チームしかない。確率にして8・7%。予選敗退が目の前に突きつけられた。ザック監督は「あと2試合残っています。士気を高めないといけない。今夜よりもいいプレーはできる」と前を向いた。前回大会で初戦に敗れたスペインは優勝している。まだ諦めるのは早い。