惨敗終戦…日本のサッカーはあったのか
「ブラジルW杯・C組、日本1-4コロンビア」(24日、クイアバ)
C組の日本はコロンビアに1‐4で敗れ、2敗1分けで1次リーグ敗退が決まった。攻撃を重視した「自分たちのサッカー」を掲げて挑んだが、過去2戦から選手を大幅に入れ替え、2軍同然の相手を崩せなかった。アルベルト・ザッケローニ監督(61)は進退について明言を避けたが、退任は決定的。4年間目指した攻撃サッカーを体現できないまま、ザックジャパンは終わりを迎える。
攻めた。1点は奪った。それでも惨敗した。相手は初戦、2戦目から先発を8人替えていた。「これが現実」という本田の言葉通り、日本のサッカーは強豪国の控え組にも通じなかった。
勝利以外に決勝トーナメント進出がない日本は1トップに大久保、ボランチにロングパスが得意でW杯初出場の青山が起用された。監督は「イチかバチか」と攻撃を重視した。しかし、13本の枠内シュートで1点止まり。9本の枠内シュートを4本決めた相手とは決定力に大きな差があった。後半40分には43歳でのW杯最年長出場を達成させるため、控えGKのモンドラゴンを投入される屈辱も味わった。
試合前から多くの選手が求めていた「自分たちのサッカー」を見せた上で玉砕した。その中で、素朴な疑問を抱いていた選手がいた。大会直前にザックジャパンに入った大久保だ。試合後、「自分たちのサッカーが何なのか、逆に知りたいくらい。これっていうのがあるのかと思った」と告白した。「みんなが納得してやっていない」ようにも見えていた。
DF今野は「何が正解かは分からない」と戸惑い、DF吉田は「僕個人としては可能性はあるサッカーだと思う」。選手によってとらえ方にばらつきが出てくるほど「自分たちのサッカー」はおぼろげなものだった。
4年をかけても「日本のサッカー」を完成させられなかったザック監督は、去就について「幹部の方たちと話してからお話しします」と明言を避けたが、任期満了で退任する可能性が高い。後任には元メキシコ監督のハビエル・アギーレ氏(55)、この日対戦したコロンビア代表監督のホセ・ペケルマン氏(64)らが有力だ。
ザック監督は「チームが実力を示せなかったことの責任は自覚している」と失敗を認めたが後の祭りだ。理想は高かった。それを実現する力が選手にも、監督にも、協会にも足りなかった。この惨敗は「クイアバの現実」だ。