ハリル日本、本田から3発首位ターン
「W杯アジア2次予選、シリア0-3日本」(8日、マスカット)
日本はシリアに3-0で快勝し、E組首位に立った。後半10分にMF本田圭佑(29)=ACミラン=のPKで先制し、25分にFW岡崎慎司(29)=レスター、43分には宇佐美貴史(23)=G大阪=がゴールを決めた。バヒド・ハリルホジッチ監督(63)が「最も重要な試合になる」と位置付けた大一番を制し、最終予選進出へ大きく前進した。この一戦はシリアの政情不安により、中立地での開催となった。
勝利の瞬間、ハリルホジッチ監督は静かに拍手をすると、ベンチでスタッフと喜びを分かち合った。「この勝利を探しに来た。前半は良くなかったが、ハーフタイムに少し修正を加えた。後半はプレーが良くなり、仕留めることができた。素晴らしい、美しい勝利だ」。負ければ自力での1位通過が消滅する大一番は、苦しみながらも着実に得点を重ねて勝利に結びつけた。
待ちわびた得点は、後半10分。MF長谷部のロングボールに抜け出したFW岡崎が、エリア内で倒されてPKを獲得。ハリルホジッチ監督就任以降、10戦目にして初のPK。指揮官が望んでいた形がやっと訪れた。これをMF本田が落ち着いてゴール左隅へ。ようやくスコアを動かした。さらに同25分には左サイド深くをえぐったMF香川から中央の岡崎がゴールに突き刺して追加点。終了間際には途中出場のFW宇佐美がトドメのゴールを決めた。
払った“授業料”を無駄にはしなかった。「シンガポールやカンボジアになかなか点が取れない時間帯があってそれも良い経験になっていると思う」と話していた岡崎は「前半はタフだったが、後半は相手も(動きが)落ちて、自分たちのサッカーができた。(香川)真司が単独で突破したので(チームの2点目は)半分くらいは真司のゴール」と笑顔で振り返った。
多くの選手が海外でプレーする現在の日本代表にとっては、シーズン中に酷暑の中東で行われるW杯予選はまさに鬼門だ。この日も気温30度超、湿度60%以上。インド洋沖に発生中の強力な低気圧から送り込まれる湿ったしゃく熱の空気がイレブンの体力を削った。
前半は何度もミスからボールを失い、自らのチャンスをつぶし、守備面ではピンチを招いた。粗削りながらもフィジカルの強さを前面に押し出すシリアのスタイルも体力の消耗に拍車をかけた。しかし、そんな苦しい時間帯をしのぎきり、後半の3発につなげた。
これで6月のシンガポール戦の引き分けのあと3連勝。「選手、サポーターに祝福を贈りたい」と指揮官。苦しいスタートとなったハリルジャパンが、ようやく2次予選で首位に立った。