夢生代表初ゴールとなる先制ゴール奪う
「W杯アジア2次予選、シンガポール0-3日本」(12日、シンガポール)
W杯ロシア大会アジア2次予選の第5戦で日本は、シンガポールを3-0で下し、4勝1分けの勝ち点13でE組首位に立った。前半20分、5年ぶりに代表復帰したFW金崎夢生(26)=鹿島=が代表初ゴールとなる千金の先制ゴールを奪った。その後も2点を追加。6月にホームでスコアレスドローに終わった相手に“リベンジ”の3発快勝となった。
待望の先制点は、思わぬ“伏兵”がたたきだした。前半20分、右サイドからのFW本田のクロスを、FW武藤が折り返すと、待っていたのはFW金崎。胸トラップから左ボレーで豪快にネットを揺らした。歓喜の雄たけびを上げながら、ベンチへと猛ダッシュ。ベンチメンバーの中に飛び込んでいった。
ハリルホジッチ監督の期待に“一発回答”で応えた。9月26日の鹿島-浦和戦で、自ら直接視察をして招集を決めた26歳。パワフルな男はゴールシーン以外でも、屈強なフィジカルで密集地帯に飛び込む姿勢や、縦への推進力を発揮。ハリル体制で岡崎が不動の座を確保していたセンターFWの定位置争いに割って入る、十分なインパクトを残した。
0-0に終わった6月のシンガポール戦を引き合いに、指揮官は試合前に「リベンジ」という言葉を何度も使ってきた。協会内の監督室で同戦の映像を分析している際には「外にいる職員まで叫び声が聞こえる」ほどだったという。ただ、念願のリベンジ達成にも「今夜も決定機を外したが、少なくとも3~4点は取れた」と足もとは見つめている。
それでも、ある意味では勝ち点3以上の収穫となるかもしれない一戦だ。2010年の南アW杯以降、チームを支える屋台骨の顔ぶれに大きな変化はない。ザッケローニ体制では指揮官の考えもあり、招集から出場までに一定期間を置くなど、チームの新陳代謝には慎重だった。早い段階からメンバーが固定され、戦術を磨き続けたが、結果としてブラジルW杯は尻すぼみの惨敗。3年後に向け、競争を伴う世代交代は大きなテーマの一つだ。
MF長谷部が「試せる段階で新しい選手を試し、競争が生まれるのは良いこと」と語るように、フレッシュな選手が持ち味を披露した。先制点の金崎に加え、ハリル体制で初先発のMF柏木、トップ下で先発した清武については指揮官も「彼らの表現には本当に満足している」と拍手を送った。勝利と成長を追い続け、ハリルジャパンが進化する。