U23代表「3本の矢」で金射止める
日本サッカー協会は1日、リオデジャネイロ五輪の男子日本代表18人とバックアップメンバー4人、トレーニングパートナー5人をそれぞれ発表し、MF遠藤航(23)=浦和=らが順当に選出された。14人が最終予選メンバーとなり、大きなサプライズはなかった。手倉森誠監督(48)は「託す側と託される側に役割が分かれた」と話し、『まとまり』『守備』『速さ』を重視した選考となった。日本は48年ぶりのメダル獲得を目指す。
五輪への夢が18人に託された。「悩みに悩み抜いて決定することができました」。手倉森監督は、会見冒頭で偽らざる本音を漏らした。
熟考に熟考を重ねた。5月の親善試合ガーナ戦後、日本協会の岡田副会長やJ1福岡の井原監督らと会食し、W杯フランス大会で三浦知を外した際の経験を聞かされていた。当時代表の主将だった井原監督は「あの時は心が痛かった」と振り返った。覚悟は決めていたが、その苦悩は想像以上だった。前日のスタッフ会議でも絞り切れず、最終的な決断は前夜の就寝前だったことを明かした。
大きなサプライズはなかった。OA枠3人とGK中村を除くと、18人中14人が1月の五輪最終予選メンバー。手倉森監督が「集中開催で強みである『まとまり』を発揮できる、調和の取れたメンバー」と話したように、チームの一体感を最優先させた結果だった。
ボランチ4人
メンバー構成で目を引くのは、3枠と見られていたボランチに4人を選出し、攻撃的MFを3人にとどめたことだ。指揮官は「押し込まれて、守らなければならない時間が続く」と五輪本番での戦いを想定。「後ろを万全にしたかった」と塩谷、遠藤といった守備で複数ポジションをこなす選手をそろえ、守備に重心を移した。
さらに『高さ』より『速さ』を重視した。18人の平均身長は176・4センチ。185センチのFW鈴木、180センチのFWオナイウを選外としたことで、MFとFW10人の平均身長はわずか172・5センチとなった。前線に『高さ』が不十分であることを認めながらも「日本の強みは『速さ』」と強調。攻撃陣を「少数精鋭」とし、「チャンスも少数かもしれないが、そこを突ける選手をそろえている」と戦い方をイメージした。
日本は68年メキシコ大会の銅以来、メダルから遠ざかっている。「金メダルを目指さなければ銅にも引っ掛からない。“どう(銅)”にもこうにもならない」とダジャレで金メダルを宣言。1次予選、最終予選で9連勝を積み重ねた。世界の頂に到達するまであと6試合。ブラジルの地で集大成を迎える。