なでしこ1位通過「FW」阪口が先制弾

 「アジア大会・サッカー女子、日本3-0台湾」(22日、仁川)

 1次リーグが行われ、B組の日本は台湾を3-0で下し、2勝1分けの勝ち点7で中国と並んだが、得失点差で上回り、同組1位で決勝トーナメント進出を決めた。2トップの一角で先発した阪口夢穂(26)=日テレ=が先制点を決め、FW吉良知夏(23)=浦和=とMF川澄奈穂美(28)=INAC神戸=も加点した。準々決勝は26日にA組もしくはC組の3位と対戦する。同組のもう1試合は中国がヨルダンに5-0で勝ち、2位でベスト8に進んだ。

 約5万2000人収容の文鶴競技場に、観客はわずか581人。韓国の試合が行われている野球場からの歓声が時折響く中、ガラガラのスタジアムでは宮間主将の険しい指示が飛び続けた。過去の対戦ではほとんど大量得点で下してきた台湾を相手に、苦しみながらも3-0で勝利。やや物足りなさは残ったが、B組1位で決勝トーナメント進出が決定。連覇に向けてまた一つ階段を上がった。

 多くの負傷者を抱える厳しい状況の中、チームを救ったのが阪口だ。不動のボランチは、この日はFWとして先発。前半3分、DF有吉のクロスを豪快に蹴り込み、貴重な先制点をもぎ取った。

 その後は一度ボランチに戻ったが、後半途中から再び前線へ。結果的に1得点に終わったが「ケガ人がいて登録人数も少ない大会だし、いろんなポジションをやらないといけない。楽しくやらせてもらった」と笑顔。GK2人に何かあった場合の第3GKもこなす器用さと抜群の運動神経で、チームを助けた。

 あくまで苦肉の策だったが、佐々木監督は「阪口はやっぱり後ろ(MF)だね。でも1点取ったから十分」と及第点。阪口自身は「もうNGですね」と話したが、オプション戦術として十分な武器となる可能性を示した。

 1位突破を決めたことで、決勝トーナメントは前回決勝を争った北朝鮮、地元韓国とは別の山に入り、決勝まで強豪との対戦は避けられた。「狙っていた。でも、また引き締めて頑張りたい」と阪口。連覇へ突き進むなでしこには、頼もしき“何でも屋”がいる。

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