なでしこ連覇王手!さあ感動、歓喜へ
「カナダ女子W杯・準決勝、日本2-1イングランド」(1日、エドモントン)
連覇を目指す日本代表「なでしこジャパン」はイングランドを倒し、2大会連続の決勝進出を決めた。後半終了間際のオウンゴールが決勝点になった。先制のPKを決めた主将のMF宮間あや(30)=岡山湯郷=は「W杯は渡さない」と宣言した決勝は6日。11年のW杯決勝ではPK戦で破り、12年ロンドン五輪決勝では敗れた宿敵米国と雌雄を決する。
これが、なでしこの執念、そして底力だ。最後は幸運にも映るが、それをたぐり寄せたのは紛れもなく、重圧の中で勝ち続けてきた“王者”の実力だ。
延長突入まで残り2分を切っていた。1-1で迎えた後半ロスタイム。DF熊谷紗希(24)=リヨン=がボールを奪い、右サイドのMF川澄奈穂美(29)=INAC神戸=へ縦パスを送った。
「中央に(大儀見と岩渕の)2人が走っている。これは、GKとDF陣にボールを通せば何か起こるかも」。そう直感した川澄は、ゴールへ向かって走るFW大儀見優季(27)=ウォルフスブルク=へ低い弾道でクロスを入れた。
大儀見は「ナホ(川澄)からクロスが上がった瞬間、DFの顔を見たら『マジかよ』みたいな顔をした。『来るな(パスが通るな)って』感じた」
ペナルティーエリア内に落ちたボールをDFバセットが転倒しながら右足つま先でクリア。大儀見への“配球”は阻まれた。だが、クリアボールはGKの頭上を越えてバーをたたき、落下してゴールラインを割った。その後、ワンバウンドして外へ転がり出た。
入ったのか、入ってないのか。場内が一瞬静まり返った後、主審はゴールを宣言した。ビデオ判定システムが導入されており、主審の腕時計に「ゴール」と表示されていた。
佐々木則夫監督(57)も興奮を隠せなかった。「(バセットが)クリアしなかったら大儀見が触っていた。オウンゴールという形だが、われわれがカウンターを仕掛けたから(生まれた)。これはもう間違いない。川澄と大儀見のゴールだ」。大儀見も「(DFが)触ってなかったらシュートを打てた」と胸を張った。
決勝の相手は米国だ。前回大会決勝ではPK戦の末に女王の座に就いたが、3年前のロンドン五輪決勝では苦杯をなめ、銀メダルに甘んじた。
前半33分、有吉佐織(27)=日テレ=が倒されて得たPK。駆け引きの妙味十分のゆっくりした助走から鋭く、正確に左隅へ決めた宮間は試合後、ほとんど笑みを見せずに強い口調でこう言った。「(米国には)五輪で金メダルを持っていかれている。『ワールドカップは渡さない』という気持ちで戦う」
あと1勝。列島が再び、4年前のあの感動と歓喜に包まれる。