【400万円で買える】中国BYDの新型SUV「シーライオン6」は神コスパPHEV 電気だけで最大100km走行可能、試乗では約30km走ってもエンジン始動せず

日本でBEV(バッテリー電気自動車)を展開している中国のBYDは、圧倒的なコストパフォーマンスを武器に、日本市場で徐々に存在感を高めている。2025年の世界自動車販売台数ランキングでは5位に入るなど、急成長を遂げているメーカーだ。

BYDは、「BEVを選ぶのはまだ早い」と考えるユーザーに向け、ガソリン車やハイブリッド車から乗り換えやすいPHEV(プラグインハイブリッド車)の「シーライオン6」を投入した。

トヨタや三菱もPHEVをラインアップしているものの、ハイブリッド車に比べて車両価格が高くなりやすく、BEVと同様に販売は大きく伸びていない。そんな日本のPHEV市場に対し、BYDは価格競争力を前面に打ち出した。

シーライオン6(AWD)の車両価格は448万8000円。単純比較はできないものの、トヨタ RAV4 Z(PHEV)は約600万円、RAV4 Z(ハイブリッド車)は約490万円となっており、高い価格競争力が際立つ。

本記事では、圧倒的なコストパフォーマンスを武器に登場したシーライオン6に試乗し、その実力を評価・解説する。

■シーライオン6はスポーツカーのようなデザイン

シーライオン6には、BYDの海洋シリーズ共通の「Ocean X Face(オーシャン・エックス・フェイス)」デザインが採用されている。そのため、セダンのシールやBEVのシーライオン7と共通したデザインテイストとなっている。ブランドとしての統一感がある一方で、各モデルの違いがやや分かりにくいと感じる人もいるだろう。

一方、シーライオン6そのもののデザインは個性的だ。一般的に人気の高いSUVは、ボンネットを高めに設定し、大型グリルを組み合わせた力強いフロントフェイスを採用するモデルが多い。

しかし、シーライオン6は、ボンネット先端に向かって低くなるウェッジシェイプのシルエットを採用している。このスタイルは、ポルシェ マカンやカイエンを思わせるデザインだ。

こうした造形は現在のSUVでは主流とはいえず、スポーツカーメーカーがスポーティさを表現する際によく用いるデザイン手法である。BYDはスポーツカーメーカーではないものの、シーライオン6ではあえてこうした手法を取り入れた。クーペライクなルーフラインと相まって、SUVでありながらスポーティな印象を強く打ち出している。

■先進的とは言えないが、着実に進化するインターフェイス

シーライオン6のインパネは、水平基調のシンプルなデザインを採用する。最新世代のインテリジェント・コクピット・システムを搭載し、まず目を引くのは、BYDの特徴でもある15.6インチの大型マルチタッチスクリーンだ。メータークラスターには12.5インチの大型ディスプレイを採用する。

こうしたインターフェイスは従来モデルから改良が加えられ、解像度や視認性がさらに向上している。ソフトウェアや操作性を継続的にアップデートしている点は、BYDの強みのひとつといえる。

一方で、センターコンソール上部にディスプレイを配置するレイアウトは、デザイン面ではやや新鮮味に欠ける印象も受ける。欧州のプレミアムブランドでは、インテリア全体をディスプレイで構成するデザインが広がっており、近未来的なコックピットへ進化している。このあたりは、今後さらに進化が期待される部分だ。

装備面では、AWDモデルにワイドヘッドアップディスプレイを標準装備する。オーディオは、インフィニティ製10スピーカーシステムをシーライオン6専用にチューニングして採用。さらに、前席にはシートヒーターとベンチレーションを備え、センターコンソールにはクリスタル調の電動シフトレバーや2基のワイヤレス充電器を配置する。

これだけの装備内容を備えながら、車両価格を考えるとコストパフォーマンスの高さが際立つ。

合成皮革シートを採用した前席は、やや大きめでゆったりとしたサイズ。リラックスした姿勢で長距離移動ができる。

また、後席の居住性も十分確保されている。

一方、荷室容量は425Lで、このクラスのSUVとしてはやや控えめな容量となっている。

■市街地では、ほぼ電気自動車として走行

シーライオン6には、BYDのプラグインハイブリッドシステム「DM-i(デュアルモード・インテリジェンス)」を搭載する。エンジンは主に発電を担い、その電力と外部充電した電力を使って、基本的にはモーターで走行する。充電した電力を使い切った後はシリーズハイブリッドとして走行し、走行状況によってはエンジン直結モードも使用する。

今回試乗したのは前輪駆動(FF)モデルだ。モーター最高出力は145kW(約197ps)、最大トルクは300N・mを発生する。駆動用バッテリーには、BYDがPHEV向けに開発したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用し、容量は18.3kWh。EV走行距離(WLTCモード)は100kmとなる。0-100km/h加速は8.5秒で、スペック上は突出した数値ではない。

まずは市街地を走行した。車両重量は1940kgあるものの、走り出しは驚くほど軽快だ。モーター駆動らしくスムーズに加速し、制限速度までストレスなく到達する。最大トルクは300N・mだが、体感的にはスペック以上の力強さを感じた。

約30kmにわたって市街地や郊外路を走行したが、その間エンジンは一度も始動しなかった。終始モーターだけで走行し、EVらしい静かな走りを楽しめる。同じ条件で比較したわけではないため単純比較はできないものの、国産PHEVよりもEV走行できる範囲が広い印象を受けた。もちろん、EV走行中はエンジンが停止しているため、車内の静粛性も非常に高い。

BYDによると、バッテリー残量が25%以上あり、アクセル開度が85%以下であれば、基本的にエンジンは始動せずEVとして走行するという。また、バッテリー残量が十分な場合は、0~160km/hまでEV走行を維持できるとしている。実際に試すことはできなかったが、この速度域までEV走行を維持できるPHEVは珍しい。

一方、高速道路の合流では、あえてアクセルを深く踏み込み、エンジンを始動させてみた。それまで高い静粛性を保っていたこともあり、エンジン始動時の音は想像以上に存在感があった。ただし、これはアクセルを全開に近い状態まで踏み込んだ結果であり、通常のシリーズハイブリッド走行ではエンジン音が気になる場面はほとんどなかった。

PHEV専用に開発された1.5Lアトキンソンサイクルエンジンは、熱効率43.04%という世界トップレベルの性能を実現し、燃費性能の向上に貢献している。圧縮比は15.5と高いものの、使用燃料はレギュラーガソリンだ。輸入車ではハイオク仕様が多いだけに、維持費を抑えられる点は魅力といえる。

シーライオン6のEV走行距離は100km(WLTCモード)。市街地ではエンジンが始動する場面が少ないため、通勤や送迎、買い物といった日常的な用途であれば、ほぼEVとして使用できる。ガソリンの消費を大幅に抑えられるため、経済性の高さも大きな魅力だ。

なお、シーライオン6にはAWDモデルも設定される。前後にモーターを搭載し、最高出力は前150kW・後150kW、最大トルクは前300N・m・後340N・mを発生。0-100km/h加速は5.9秒と、スポーツSUVに迫る動力性能を実現している。エンジンは1.5Lターボへ変更され、EV走行距離は90km(WLTCモード)となる。

■穏やかな乗り心地とハンドリング

スポーティなデザインとは対照的に、シーライオン6の乗り心地はしっとりとした快適志向だ。サスペンションはやや柔らかめにセッティングされており、乗り心地を重視した味付けとなっている。そのため、スポーティな走りを積極的に楽しむタイプではない。路面の凹凸が連続する場面ではタイヤからのゴツゴツとした感触が伝わるものの、不快に感じるほどではなかった。

ハンドリングも同様に穏やかな印象だ。ステアリング操作に対する応答性は過度に鋭くなく、落ち着いたセッティングとなっている。試乗した前輪駆動(FF)モデルは、フロントに重量物や高出力モーターを搭載していることもあり、後輪駆動車のようにアクセルを使って積極的に車体の向きを変えていく感覚は薄い。運転を楽しむというより、安定性や扱いやすさを重視したハンドリングといえる。

一方で、AWDモデルには高出力モーターを後輪にも搭載しているだけに、「後輪駆動モデルがあれば、さらにスポーティな走りが楽しめたのでは」と感じた。

とはいえ、カーブでは車体のロールが抑えられ、フラットな姿勢を維持する。そのため、乗員の体が大きく左右へ振られることは少なく、長距離でも快適に移動できる印象だった。

■装備充実! シーライオン6のグレード選び、まとめ

シーライオン6のグレードは、前輪駆動(FF)とAWD(4WD)の2タイプというシンプルな構成だ。駆動方式以外の装備差は少なく、AWDにヘッドアップディスプレイと運転席メモリー機能付きパワーシートが標準装備される程度となっている。

そのほか、予防安全装備や運転支援機能も充実。合成皮革シート、運転席・助手席パワーシート、運転席・助手席シートベンチレーション&シートヒーター、ワイヤレス充電(2基)など、快適装備も標準で備わる。

国産ラグジュアリーSUVであれば最上級グレードに匹敵する装備内容ながら、FFモデルの価格は398万2000円。同クラスの国産SUVでは、PHEVはもちろん、ハイブリッド車でも中間グレードから上位グレードに近い価格帯となる。

価格だけでなく装備や性能を総合的に見ても、シーライオン6のコストパフォーマンスは非常に高い。購入候補の1台として十分に検討する価値があるモデルだ。

グレード選びで迷うポイントは、FFとAWDのどちらを選ぶかだろう。価格差は約51万円。この価格差であれば、AWDを選ぶ価値は十分にある。

その理由は、FFモデルよりもAWDの個性がより際立っているためだ。0-100km/h加速5.9秒という力強い動力性能に加え、そのパワーに合わせて足まわりもスポーティにセッティングされており、走る楽しさも味わえる。

さらに、AWDは雪道や悪路だけでなく、雨天など路面コンディションが悪い場面でも、FFより高い安定性と安心感を発揮する。走行性能も重視したいのであれば、AWDがおすすめだ。

■BYD シーライオン6の新車価格

・SEALION 6(FF):398万2000円

・SEALION 6(AWD):448万8000円

(まいどなニュース/norico)

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