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旭天鵬「信じられない」記録ずくめ涙の初V

 元大島親方(太田武雄さん)(右)の横で長男の蓮君の頭にキスをする旭天鵬(撮影・開出牧)
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 元大島親方(太田武雄さん)(右)の横で長男の蓮君の頭にキスをする旭天鵬(撮影・開出牧)

 「大相撲夏場所千秋楽」(20日、両国国技館)

 平幕の旭天鵬(37)=友綱=が、記録的な初優勝を飾った。本割で豪栄道を寄り切り3敗を死守すると、史上初となる平幕同士の優勝決定戦では栃煌山をはたき込みで下し、歓喜の涙を流した。37歳8カ月での初優勝は史上最年長記録。初土俵から所要121場所も新記録だった。6年ぶりの日本出身力士優勝を目指した大関稀勢の里は、本割で大関把瑠都に上手投げで敗れ脱落した。

 涙をこらえて土俵を下りた。花道で我慢できなくなった。満員の観客から万雷の拍手で祝福され、旭天鵬が男泣きだ。「信じられない。本当にいろんな方に支えられた。それがあって今がある。20年やってきて本当に良かった」。本割では豪栄道に攻め込まれるも土俵際で体を入れ替え逆転勝ち。決定戦では栃煌山を冷静にはたき込んだ。

 幕内出場記録、通算800勝を達成してきた今場所。最後は記録ずくめの初優勝だ。37歳8カ月は史上最年長。初土俵から所要121場所も、貴闘力の103場所を大幅に更新した。モンゴル出身力士としては節目の50度目の優勝を飾った。

 今場所から取組後は都内の自宅マンションに直行した。長女の柚希ちゃん(3)、長男の蓮くん(9カ月)と同じ寝室で休むようにした。2日目は観戦に訪れた家族と手をつないで国技館を出た。恵子夫人(38)は「子供とふれ合う時間が増えた。普通のお父さんみたい」と話す。この日はテレビ画面に向け「パパ頑張れ」と叫んだ柚希ちゃんの応援が届いた。

 春場所で引退を考えた。4月で定年退職した元大島親方(元大関旭国)の跡を継ぐためだったが、現役続行を決断。大島部屋は閉鎖され友綱部屋に移籍した。「息子が分かるまで続けたい」という思いが、快挙を呼んだ。

 友綱親方の粋な計らいで、パレード車には「お父さん」と呼ぶ元大島親方の太田武雄さんが同乗した。元大島親方は「部屋に連れ戻したのを覚えている。ずっと息子同様に接してきた」と感激に浸った。モンゴル初の力士として元小結旭鷲山ら6人で、92年春場所で初土俵を踏み20年。半年後には角界になじめず脱走したこともあった。

 05年には帰化。和の心を持ち、外国人力士の頼れる兄貴分でもある。最後は「この姿を見せたかったな」と、09年に59歳で病死した父ニャムジャブさんを思いやった。日本とモンゴルの父への恩返し。そして2人の子供の父として。20年間の土俵人生が結実した瞬間だった。

(2012年5月21日)

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