誤審でやり直し…日馬富士ラッキー星

 「大相撲九州場所9日目」(19日、福岡国際センター)

 誤審で「やり直し」という前代未聞の事態が起こった。新横綱日馬富士は関脇豪栄道の攻めをしのいだ際、左足が俵の外の砂を擦ったと審判が判断。行司が取組を途中で止め、一時は黒星扱いとなったが、協議の結果、やり直しとなった。日馬富士が寄り切って1敗を守った。豪栄道は初黒星。横綱白鵬は関脇妙義龍を寄り倒し、9連勝でただ一人全勝を守った。

 行司の式守伊之助が日馬富士と豪栄道の背中をたたいて勝負を止めた。キョトンとする両者。日馬富士は「足は出ていない。豪栄道のまわしがよれたのかと思った」と回想。右差しを許した相手の寄りをしのぎ、相四つでさあこれから、という瞬間だった。湊川審判員(元小結大徹)が、勝負ありと手を上げていた。新横綱が俵を伝って回り込んだ際、俵の外の砂が飛んだためだった。

 しかし、蛇の目に痕跡はなく、映像も確認、約3分間の協議の末、鏡山審判部長(元関脇多賀竜)が「審判が日馬富士の足が出たと勘違いして手を上げてしまいました。もう一度やり直しという形でやらせていただきます」とアナウンス。ざわついていた館内が、どっと沸いた。

 やり直しの一番は、日馬富士が突き押しからもろ差しとして、一気に寄り切った。新横綱は「審判がそう見えたらね。それが役目」と大人の対応。劣勢とみられた最初の取組も「右四つになって、よしと思った。僕の方が有利だった」と話した。

 湊川審判員は「左足が出たと思った。間違いだった。明日、理事長に報告して謝罪します」と平謝り。北の湖理事長(元横綱)は「砂が飛んだら勘違いすることもある」と擁護した上で「自分も同じことがありました」と回想した。

 75年名古屋場所初日の北の湖‐高見山。寄り切ったかに見えたが、その前に手を土俵に擦ったとされ、相手に軍配が上がった。11分間の協議の末に取り直しになり、今度は北の湖が、もろ差しからあっさり寄り切った。

 新横綱場所で勝ち越しを決めた日馬富士。それでも「横綱に勝ち越しはない。優勝しかない」ときっぱり。白鵬を1差で追い、3連覇を狙いに定めた。

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