160センチ爆羅騎白星デビュー
「大相撲初場所3日目」(15日、両国国技館)
160センチの小兵・爆羅騎(ばらき)(18)=式秀=が、前相撲で鮮烈な白星デビューを飾った。新弟子検査を“背伸び”してクリアした異色の力士だが、相撲の実力は本物。力強い突き押しで見事な白星をつかみ、記念すべきプロデビューを勝利で決めた。
ずらりと並んだ新弟子の中でも頭一つ小さい。だが、実力は本物だった。相手は身長177センチ、体重120キロの浜上。爆羅騎はやや立ち遅れたが、右からたぐって態勢を入れ替えると、最後は危なげなく押し出し。「集中して取れました。50場所で幕内に上がりたい」。力士としての第1歩を飾り、満面の笑みを浮かべた。
取組を見守った式秀親方(元幕内北桜)は「相手が残しても攻められる態勢だった。いいものを持っている」と絶賛。「小兵力士にしかできない技がある。小ささを武器にして大きい力士を倒すと、それもまた魅力になる」。素材の特長を生かして育成する方針だ。
出会いは小学4年。国技館で本場所を観戦中に、当時は現役力士だった師匠から、所属する北の湖部屋への見学に誘われた。ところが、約束の日は大雨。電車のダイヤが乱れて到着は1時間以上も遅れたが、「僕が呼んだので」と師匠は部屋の外で傘を差して待ち続けていた。その姿を目の当たりにした父・雅浩さん(51)は「絶対に親方のところで世話になる」と即決した。
公表は167センチだが、うっかり「160センチです」と口にしてしまうかわいらしい一面も。出世披露は、190センチの師匠が着用していた化粧まわしを使用する予定。大きなまわしを引きずる姿が、さらに注目を集めそうだ。
5歳のとき、2学年上の兄・羅王丸(立浪)が持ち上げられなかった10キロの米袋を、顔の前まで持ち上げた。中学1年の腕相撲大会では、3年生もなぎ倒して優勝。体は小さいが、パワーは計り知れない。相撲界での最高位を目指して、爆羅騎が“低身出世”の道を踏み出した。