琴奨菊10年ぶり日本出身力士Vへ王手
「大相撲初場所・14日目」(23日、両国国技館)
大関琴奨菊が関脇栃煌山を寄り切って自己最多の13勝目を挙げ、06年初場所の栃東(現玉ノ井親方)以来、10年ぶりとなる日本出身力士の優勝に王手をかけた。横綱白鵬が稀勢の里に押し出されて2敗に後退したため、1敗を守った琴奨菊が再び単独トップに立った。千秋楽に大関豪栄道に勝てば初優勝が決まる。平幕豊ノ島は2敗をキープ。日馬富士は鶴竜との横綱対決に敗れ3敗目を喫し、2場所連続Vを逃した。
支度部屋に戻った琴奨菊は「ようしっ!!ようしっ!!」と声を張り上げた。前日は豊ノ島に連勝を止められ風呂場で「あーくそー」と何度も絶叫した。優勝へ漂った暗雲を強い気持ちで振り払った。
栃煌山に突っかけられ、仕切り直しとなった立ち合いでは鋭い出足から左を張って差した。右を抱えて伝家の宝刀、がぶり寄りをさく裂させた。
幕内65場所目で自身最多の13勝目。「決めたことをやる。すごく冷静だった。前日から成長できたし、相手の長所、短所を研究できた」と会心の表情で振り返った。前日の黒星にも「呼吸なしで我慢してきたけど、前日負けて深呼吸した感じ」と切り替えていた。
小学生時代からのライバル、豊ノ島の執念は「いい勉強になった」と言う。「この状況をいかに楽しむか。過去は過去。自分に勝てるか」と改めて自らと向き合い、初優勝への重圧に打ち勝った。
結びまで見届け、自らが再び単独トップに立ったことを確認。千秋楽、豪栄道に勝てば、10年ぶり日本出身力士の優勝となる。「今からそれも頭に入れながら、想定してやることをやる。あと1番残っているので」と自らに言い聞かせた。
地元福岡県柳川市では連日パブリックビューイングが行われ、歓喜の瞬間が待ち望まれている。「周りの人の支えとか気持ちとかと一緒に戦っているから。私は実行するだけ」。昨年結婚した祐未夫人のため、この日、地元から駆け付けた父・菊次一典さんのため。菊満開へ、あと一番だ。