新井、黒田と会って去就相談か?
今季FA権を再取得し、来季去就の決まっていない阪神・新井貴浩内野手(34)が11日、米大リーグ・ドジャースの黒田博樹投手(36)と広島市内で再会。07年オフに共に広島からFA移籍した先輩と旧交を温めた。新井は4日に阪神と初回の残留交渉に臨んだが、現状維持に近い推定2年5億円の条件提示を保留。黒田との再会は「中身」こそ明かされなかったが、野球人生の岐路に立つ新井にとって有意義な時間になったことは間違いなさそうだ。
新井がドジャース黒田と会った。場所は苦楽を共にした広島。去就未定の元同僚が旧交を温めた。新井にとって黒田は金本と同様に「兄」と慕い、腹を割って話せる希少な存在。約10カ月ぶりの再会は2人にとって中身の濃い時間になったようだ。
この日、新井は甲子園クラブハウスで自主トレに励んだ後、新幹線で故郷広島に帰った。黒田との再会日は毎年1月10日と決めている。「110番の日」と名づけ、広島退団後もスペシャルな時を過ごしてきた。今回は双方の都合で再会日を年内で調整。積もる話の中身は扉の向こうだが、揺れる胸中を語り合ったことは想像に難くない。
新井と黒田は共に07年オフにFA権を行使。新井は阪神移籍、黒田は米大リーグ挑戦を宣言して広島に別れを告げた。あれから4年。黒田は今季も先発ローテーションで13勝を挙げ、2年連続2桁勝利を達成。ドジャース在籍4シーズンで41勝と、確固たる地位を築いた。来季去就は白紙だが、ドジャースの独占交渉期間が明けた今月初めに広島が黒田獲得の意思を表明。黒田はデイリースポーツの取材に対し「日本に帰るなら一番にカープを考える」と広島愛を強調した。
一方の新井は昨季序盤から4番に座り、今季は打点王を獲得。阪神在籍4年間で582安打、59本塁打、346打点を残し、強力打線で中軸を任されてきた。新生和田阪神でも4番を期待されるだけに、去就問題は阪神の一大案件だ。今月4日に新井は球団と最初の残留交渉に臨み、現状維持に近い2年5億円の提示を保留。この夜、交渉の進ちょく状況を問われると「今、しっかり考えているところ。きょう言えることはそれだけ」と話した。
新井は「黒田さんは大切な存在」と言う。広島時代はエースと4番。古巣を離れ、違う道を歩んだが、野球観、人生観を共有する間柄は今も変わらない。黒田との再会で今後の道筋を得られたかどうか。野球人生で再び岐路に立った新井が、自らの意思で去就を決断する時は迫っている。