阪神・和田監督は５日、福留の入団会見に同席した。がっちりと交わした握手。右手に熱と期待がこもった。守備力重視の方針を打ち出した今季。広い甲子園を本拠地とするチームの戦い方。中日時代、レーザービームで虎のチャンスを摘んだ福留の加入を、和田監督は心底喜んだ。

　「ここ何年か、ワンヒットで２つの塁を取られてた。それを止めてくれる。中日時代にやられたけど、彼はわざと走者を（三塁へ）走らせて、殺したろうという発想がある選手」。強肩プラス頭脳。指揮官は迷わず右翼を任せる決断を下した。

　打順はクリーンアップ。キャンプ、オープン戦を経て、どのオーダーが点を奪うのに効率的なのかを考えた上で、何番に据えるのかを決めるが、敵として戦った中日時代の勝負強さは脳裏にこびりついて離れない。

　「彼の勝負強さね。特にランナーをおいた時の打撃技術、考え方はすばらしいものがあるし、クリーンアップを打てる力は持ってる」。両リーグワーストの総得点に終わった昨年からの脱却、反撃も、福留を起点として打線を再構築する。

　福留の獲得を最後とした今オフの補強。「これで打倒ジャイアンツに向けた戦える戦力がやっと整った」と和田監督。パーツはそろった。後は整備士の腕次第。同じ過ちは繰り返さない。無限に広がる空想。虎将が必ず成功へと結びつける。