岩本開幕ローテ大前進!先発3回0封
「練習試合、日本ハム2-7阪神」(10日、名護)
力を出し切った。緩急をつけて、丁寧にコースを突く。派手さはなくも安心感があった。チームにとっても自身にとっても今年初の対外試合。阪神・岩本が成長の跡を見せた。
「結果を残すことだけを考えていた。この1軍で生き残っていかないといけないので」
初回2死。陽岱鋼を迎えた場面で真価を見せた。7日の紅白戦で本塁打を放ったWBC台湾代表を、硬軟織り交ぜた投球で封じ込めた。
カウント1‐1からの3球目はこの日“最遅”の86キロのカーブ。「僕は飛び抜けて速い直球じゃない。(カーブで)いかに速く見せるかを考えている」と話す生命線の変化球で追い込んだ。
4球目は外角低めへ直球。見逃し三振を奪うと「右打者の外角のボールが練習の大半を占めているのでそこへしっかり投げられたのも収穫だった」。手が出ずに天を仰ぐ陽を横目に、さっそうとマウンドを駆け降りた。
二回無死は中田を外角低めのスライダーで体勢を崩して遊ゴロ。続く稲葉も外角直球で中飛に打ち取った。「1軍で戦うならああいう打者を抑えないといけない。抑えられてよかった」。WBC日本代表候補で仕上がりも早い強打者2人を抑えたことで自信も深めた。
この日の最速は139キロ。最大53キロもの緩急をつけて3回2安打無失点だった。無四球ながら43球を投じたが、これもスタイルだ。和田監督は「低めを丁寧に突く分、球数は多くなるけど持ち味が出ていた。きょうに関して言えば合格点」。中西投手コーチも「低めのゾーンに集めていたし、ボール自体もよかった」と安定感を評価した。
昨季はプロ初勝利を含む2勝1敗で防御率0・00。今季は藤浪、榎田、小嶋、鶴らと先発ローテを争う。「当然(ローテ入りを)狙っている。候補は何人もいると思うけど入れるようにやってきたし、試合でしっかりアピールしたい」。表情にあどけなさが残る20歳の右腕は口元を引き締め、次のステージへ目を向けた。