緊急昇格の荒木が打って走ってアピール
「WBC強化試合、阪神2‐3WBCキューバ代表」(27日、京セラ)
キューバに逆転負けを喫した中、虎の新星がキラリと輝いた。故障離脱した上本に代わって、3年目の荒木郁也内野手(24)が緊急昇格。「1番・二塁」で先発出場し、俊足を生かした内野安打を含む2安打1盗塁と結果を出した。猛アピールした若虎に、和田豊監督(50)も高評価を与えた。
「1番セカンド荒木」。名前をコールされると全力疾走で二塁の守備位置に向かった。ケガで離脱した上本の代役で1軍に緊急合流した3年目の荒木が、持ち味の“足”で魅せた。
「とりあえず思い切って、しっかりやることをやろうと思いました」。5打数2安打1盗塁の結果にも、表情を崩すことはなかった。
初回だ。外角146キロ直球を中前へはじき返して出塁。続く大和の打席で2球目にスタートを切り二塁を陥れた。
さらに無死一塁で迎えた五回は犠打の構えから2球ストライクを見送り追い込まれたが、次の球を右方向へ叩きつけて二塁内野安打をマーク。「出たときに何とか頑張れるようにやっていきます」と気迫で好機を拡大した。二塁の守備でも必死に声を張り上げた。
この姿に和田監督も高い評価を与えた。「いつくるか分からないチャンスに、しっかり準備してくれたことが今日に出た。こういう機会が増えてくるかな」とうなずいた。
1軍に合流するのは約1年ぶり。昨年は開幕前に降格するとシーズン中は1度も1軍に昇格することができなかった。だが2軍でも腐ることはなかった。9時から始まる練習の前には、誰よりも早くトレーニングルームに姿を見せ入念にストレッチを繰り返した。いつ1軍に呼ばれてもいいようにコンディションは整えていた。
大卒3年目。今季もスタートは2軍安芸キャンプだったが、上本のケガで突如巡ってきた1軍舞台。「上を目指してやります」と前を向いた荒木。甘いマスクと裏腹にプレーは泥くさい。俊足巧打で猛アピールした。