虎勝てたのに…守備ミス連発で逆転負け

 「阪神5‐6広島」(29日、甲子園)

 ゴールデンウイークに甲子園に集まった今季最多の4万6108人の誰もが信じて疑わなかった勝利がポロリとその手から滑り落ちた。グラブからこぼれ落ちた白球。譲り合って外野に弾んだ白球。そのたびにマンモスにこだましたファンの悲鳴。貯金4、4度目の挑戦もならなかった。

 勝利目前に落とし穴が待っていた。九回1死二塁。菊池が打ち上げた右中間への飛球が、右翼から左翼へ吹く、いつも以上に強烈な浜風に流された。リードは1点。前進守備をとっていた大和と福留が着地点へ駆け寄ったが、風に流れる打球を譲り合う格好となり、両者の間に落ちた。2アウト…そう確信して歓声を準備した大観衆の悲鳴とため息が交錯した。

 ピンチが二、三塁に膨れあがると、ベンチは丸を歩かせ満塁策をとったが、よもやのミスで手放した流れが戻ることはなかった。続く広瀬が放った三塁右の強い打球を、守備固めで三塁に入った坂がはじき、同点。直後、松山の浅い左飛は俊介の好捕で難を逃れたが、梵に右前適時打を許し、結局これが決勝点。9カードで7勝していた3連戦初戦を寸前で逃し、試合後のベンチ裏には9連戦中の疲労感が漂った。

 福留は責任の所在をうやむやにしなかった。「風があるのは試合前から分かっていた。(大和は)視界に入ったけど、あれはオレが行ってやらなけきゃね…。久保に悪いことをした」。外野守備を預かる山脇コーチが「あそこはセンター優先。大和が遠慮した部分はある。風に戻されたけど、結局のところは声」と、外野手の約束事が存在するプレーと説明した。Eランプは点灯しない。勝敗を分けるプレーとなったが、大和は「積極的にいけば良かったという悔いはある。あそこは自分がいかないといけない。ぶつかってでも、捕らないといけなかった。久保さんに申し訳ない」と声を絞り出した。

 中盤も守乱が響いた。3点優勢の六回2死一、二塁の場面で松山の右前打を捕球した福留が一走・広瀬が二塁をオーバーランするのを読み切り、遊撃鳥谷に返球する好判断で刺しにかかったが、タッチした鳥谷のグラブが広瀬の後ろ足に当たり、ボールがグラブからこぼれ落ちる失策。その後同点を許していた。

 「(菊池の飛球は)ホームグラウンドやからね。どちらも捕れるだけに譲り合ってしまったね。(坂の失策は)そこを固めるために出している訳だから、難しい打球だけど、何とかして欲しかった」。和田監督は守乱を嘆いた。今季のチーム失策は2つ増えて16に。首位を走る巨人はリーグで唯一、一桁をキープする。ミスすれば、負ける。反省を糧にすべき試合になった。

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