マートン反撃打「ヤマトサンサイコー」

 「阪神4-3広島」(29日、甲子園)

 ハイテンションだった。クラブハウスへ続く通路。サヨナラ勝利の興奮冷めやらぬ表情で、阪神・マートンがヒーローをたたえた。「ヤマトサン、イイネ!スゴイネ!」。招待していた両親、そして子供たちの祝福に笑顔を見せながら「ヤマトサン、サイコー」と連呼した。

 大和をたたえたのは劇的なフィナーレだけではなかった。自身の殊勲打も「ヤマトサンノオカゲ」だった。3点を追う四回。先頭の大和が四球で出塁。続く鳥谷への初球に盗塁を決め、一塁ゴロの間に三進した。1死三塁の打席。マートンの頭脳は、シンプルだった。

 「あの場面は、大和さんが三塁まで行って、二遊間が後ろに下がっていたので、とにかくセンター方向に打とうと思っていたんだ。ヒットを打つ打たないは別にして、内野ゴロでもオッケーなわけだし、前に飛ばせば点が入る状況だったんでね。ああいうところで1点取るのは大事だから」

 初回に先制され、三回に追加点を奪われた劣勢ゲーム。序盤に1点を返すか否かで試合の「流れ」が決まる。ひとつの進塁が相手シフトを変え、反撃の糸口となった。1点差勝利を振り返れば4番の渋いセンター返しが「起点」になっていた。

 劇的な逆転打を放った前夜は、26日に来日した両親が観戦。家族水入らずのディナーは翌日デーゲームを考慮してお預け。クラブハウスで夕食を済ませ、祝杯はこの日の夜までとっておいた。「今夜は楽しく食事するよ」。普段は2男1女のパパが、孝行息子の顔で照れ笑いを浮かべた。

 今季90本目の安打が貴重な適時打となった。リーグトップ101安打の中日・ルナを2位で追う。年間196安打ペースは日本記録を樹立した10年の214安打には及ばないが、3度目の最多安打を視界にとらえる。

 大和の故郷鹿児島から大応援団が観戦に来ていたことを、マートンも知っていた。自身も故郷から家族パワーをゲット。大和も両親の前で打った。これは、縁起がいい。「アシタハ、ダレノカゾク、キマスカ?」。マートンはいたずらっぽい笑顔で球場をあとにした。

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