西岡セ初H&盗塁も大谷送球にあわや…
「オールスター・第1戦、全パ1‐1全セ」(19日、札幌ド)
マツダオールスターゲーム2013第1戦で、全セの1番に入った阪神・西岡剛内野手(28)が、四回にチーム初安打となる左前打を放った。球宴では08年以来となる安打で、全セでは初安打。そして六回には四球で出塁して盗塁成功。虎の切り込み隊長が、夢舞台で存在感を見せつけた。
西岡が笑っていた。3年ぶりの球宴は、シーズンの緊張感とは違う。楽しそうにプレーするその姿。白い歯をこぼし、大谷の鋭い返球でアウトになりそうになった場面では苦笑いも浮かべた。真夏の夢舞台でも、猛虎の躍進を引っ張るリードオフマンが存在感を示した。
全セがパーフェクトに抑えられて迎えた四回。先頭で迎えた第2打席、「オールスターでパーフェクトをやられそうな重い空気になってたんで」。吉川が投じた2ストライク1ボールからの4球目、150キロの直球を鋭く振り抜いた。
痛烈な打球が三遊間を破った。チーム初安打。自身にとっても08年以来となる球宴での安打で出塁すると、第3打席でも魅せた。ストレートの四球で出塁すると、1死後、バレンティンの初球でスタートを切った。楽々、二塁を陥れると、続く2球目に今度は三塁へ向かってスタート。これはバレンティンがファウルしたことで帰塁したが、直後に思いもよらない展開が待っていた。
バレンティンの左飛で二塁へ戻ろうとした矢先、左翼・大谷から鋭い返球が飛んできた。焦って大股でベースを踏み、間一髪でセーフになったものの、驚きの表情で苦笑いを浮かべた。「こういう舞台でああいうことをするのは、スター選手だなと思う」。大物ルーキーの意外なプレーに、西岡はすがすがしい笑みを浮かべた。
自身がロッテ時代、20歳で初出場した05年のオールスター。西武ドーム、甲子園で行われた2試合で、無安打という結果に悔しさをにじませていた。そして「あのときは若手で試合に使ってもらって、選んでもらっただけ。レギュラーで選ばれたわけではなかった」。現実を見つめ直し、翌年以降の飛躍へとつなげていった。
リーグを代表する選手となって3年ぶりに帰ってきた球宴。「シーズンと違ってノビノビ野球ができた」と言いつつも、「勝ちたかったですけどね」と本能をのぞかせた。メジャーでの挫折をも受け入れ、一流の舞台に選んでくれたファンへの恩返しは、まだ果たしていない。被災地での第3戦まで、シーズンと変わらぬ全力プレーでファンを沸かせる。