虎力負け…夢散Gに3タテ絶望8差
「巨人3-2阪神」(29日、東京ド)
力負けだ。延長十回、阪神3番手・松田が長野に痛恨の一発を浴びて、今季3度目のサヨナラ負け。和田阪神が、首位巨人に3タテを食らった。攻守に勝利への執念をにじませたが、Gは強かった。夏のロード最終戦を飾れず、これで8ゲーム差。このまま終わってしまうのか…。虎よ、底力をみせてくれ。
悲しすぎる結末。勝者と敗者が映し出す両極端なコントラスト。敵地に広がった地獄絵図。タテジマが沈んだ。猛虎の希望が打ち砕かれた。痛恨のサヨナラ負け。屈辱の3連敗。8差。宿敵の牙城は厚く、果てしなく高かった。
1イニングの攻防。残り3つのアウトが遠かった。1点差の九回、エースが連打を浴びた無死一、三塁。「あそこは能見に任せた」。和田監督が下した続投のジャッジ。だが、坂本に同点の左犠飛。紡いだ糸が音を立てて切れた。
移りゆく流れを止めるべく、指揮官は動いた。2番手・安藤がロペスを中飛に仕留めた2死三塁。和田監督はベンチを出て、今季初めてマウンドへ足を向けた。脇谷と河野。両左打者を天びんにかけ、敬遠策を指示。ベテラン右腕が空振り三振を奪い、延長戦に持ち込んだが、最後は松田がサヨナラ弾に屈した。
痛恨のプレーとなった。新井の先制打で1点を奪った四回、1死一、二塁から今成が放った右前打。吉竹三塁ベースコーチは手を回した後、ストップを指示した。しかし、二走・マートンは止まれず、減速しかけた中で、右翼・亀井からの好返球に刺された。
「いずれにしても途中でやめてはね…。アウトになるにしても、挟まれて(後ろの)ランナーを進めてからアウトにならんと。呼吸が合わなかったね」。1死満塁の絶好機になるはずだった局面は、2死一、二塁にすぼみ、追加点を阻まれた。
白星を奪えれば、ミスの印象度は薄れたが、痛恨のサヨナラ負けが、逆に犯した過ちの大きさをクローズアップさせる皮肉な結果となった。
唇をとがらせ、視線を宙にさまよわせた虎将。「全国のタイガースファンが期待して、応援してくれたのに…。結果がすべて。ただ、まだ終わったわけじゃない。久しぶりの甲子園に帰る。悪い流れを断ち切るようなゲームをしていきたい」。必死に張った声が痛々しく聞こえた。
逆転優勝の光が遠のいた8差。残り32試合に託されたわずかな希望。ただ、聖地が待っている。大きな傷を負ったタテジマを温かく迎えてくれる我が家。終戦のゴングを鳴らすにはまだ早すぎる。