マートン手出してないのに…退場なぜ?

 6回、福留の中前打で捕手・相川に体当たりでホームを狙うマートン(撮影・村中拓久) 
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 「ヤクルト2-0阪神」(14日、神宮)

 神宮の杜が大荒れだ。六回、本塁のクロスプレーをめぐり、阪神のマット・マートン外野手(31)が、ヤクルトの捕手・相川と激突。相川が激高し、乱闘の末、両選手が暴力行為によって退場処分を受けた。今年5月にもヤクルト戦でマートンは田中雅と激突しており、因縁となった乱闘劇。マートンは、阪神の選手で初の1シーズン2度目の退場。チームは今季20度目の零封負けを喫した。

 ファンの悲鳴と歓声が入り交じった直後、相川がマートンにつかみかかってきた。助っ人はガードし、両手を上げながら後ずさりする。一気に両軍ベンチから全員が飛び出して乱闘へと発展。罵声が飛び交い、もみくちゃになるホーム上は収拾がつかない状態へと陥った。

 場面は六回だった。2死二塁から福留がしぶとく二遊間を破った。二塁走者のマートンが一気に本塁を狙う。中堅・上田の好返球でタイミングは完全にアウトだったが、「キャッチャーがホームプレート上にいた。自分としては何が何でも得点したかったのでああするしかなかった」。走路に入った相川をタックルで吹き飛ばした。

 ボールは落ちずタッチアウト。その直後、相川が激高した。だが現行ルールでは走路の優先権は走者にあり、厳密に言えば捕手はホームベースを開けた状態で待たなければならない。実際に今年5月、松山でマートンが走路上にいた田中雅に突っ込み、負傷させたケースがあった。

 その際、翌日のセ・リーグ理事会では井野審判部長が「流れの中でのプレー」とルール上、問題ないプレーとの見解を示していた。そんな因縁も重なり、乱闘騒ぎに発展してしまったのか…。だが直後に審判団が下した裁定はあまりにも不可解だった。

 ホーム上で審判団は両軍監督へ、2人を退場にすることを告げた。責任審判の笠原三塁塁審は「暴力行為」と場内アナウンスで説明。だがマートンは手を出さず、相川の突進をガードし、両手を上げて後ろへ下がった。

 それだけに助っ人は「後ろに下がった」と困惑した表情を浮かべる。笠原審判は「スライディングで退場ではない。その後、応戦したから」と退場理由を説明したが、和田監督は「マートンもだろうけど、こっちもそう。だから(抗議が)長くなった」。納得できる裁定でないことは明白だ。

 打線の核を失ったチームは今季20度目の完封負けを喫した。八回途中2失点の藤浪を援護できなかった。試合後、マートンは「ケガさせようと思ってやってるわけではない。ケガがないことを祈るだけです」と相川の身を案じた。

 ただ残るのは、何を持って暴力行為となるのか‐。クロスプレーに問題がなく、手も出さずに退場処分。雰囲気的な“ケンカ両成敗”では誰も、胸のつかえが取れない。

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