鶴岡、中田賢W獲得へ坂井オーナー支援
阪神の坂井信也オーナー(64)が7日、高知県安芸市で行われている秋季キャンプを視察した。育成部門を評価する一方、9年ぶりのリーグ制覇へ必要不可欠となるFA補強についても全面支援を明言。すでに権利行使を表明している日本ハム・鶴岡慎也捕手(32)、宣言書類を提出した中日・中田賢一投手(31)の獲得に全力を注ぐ。
近年、育成だけでリーグ制覇を成し遂げたチームは数少ない。効果的な補強‐。たとえどんな良い成績を残したチームでも、戦力補強を怠れば、翌年も勝てる保証はない。首位・巨人とは12・5ゲーム差。育成だけでは乗り越えられない壁だからこそ、坂井オーナーはキャンプ地の安芸でこう自らの考えを明かした。
「少しでも可能性があって、現場が望む選手がいるのであれば(獲得を目指して)構わないと言っている」
総帥が示した全面バックアップの姿勢。そんな中、本社サイドが強い要望を示しているのが扇の要となる捕手の補強だ。すでに球団はFA権の行使を表明している日本ハム・鶴岡の調査を進めている。現時点で日本ハムは鶴岡に対し単年契約、今季年俸7600万円前後(金額は推定)の提示で引き留めを図っているもようだ。
対して阪神は正式にFA宣言選手として公示された場合、複数年契約を軸にした好条件でアタックしていくとみられる。昨年もFAでオリックスから日高を獲得し、ドラフトでは福岡大・梅野を指名した。だが捕手陣の年齢層に大きな開きが生まれている。
今季終盤に清水が存在感を示したものの、経験と実績が豊富な捕手の存在が優勝チームに欠かせない。鶴岡は32歳と選手として脂が乗る時期に差し掛かっている。さらに若き日のダルビッシュとバッテリーを組み、一番近くで球界最高峰のエースへと成長を見守ってきた経験は、藤浪ら若手投手の大きな糧にもつながる。
投手ではすでにFA宣言の書類を提出した中日・中田賢に絞って獲得調査を進めている。ただ鶴岡にしても中田にしても、獲得へ最大のライバルとなってくるのがソフトバンク。今季、Aクラス入りを逃し、来季の挽回へ向けて大型補強へとかじを切っている。
育成だけで巨人のリーグ3連覇を阻止できるほど、プロ野球は甘くない。鶴岡、中田賢のW獲得へ、坂井オーナーの大号令の下、全力を注ぐ。