ドラ1岩貞“球場贈る”母校へ恩返しや
阪神のドラフト1位・岩貞祐太投手(22)=横浜商大=が3日、熊本市内の母校・必由館高校野球部グラウンドで自主トレを公開した。元日から始動している左腕は、将来的には室内練習場建設などの恩返しを誓う。『岩貞スタジアム』を寄贈するために、ルーキーイヤーから結果を残す意気込みだ。
新たな一歩を踏み出す場所に、岩貞が選んだのは母校だった。「高校から投手を始めたのも、一番キツい練習をしたのもここ。自分の原点です」と理由を明かした。
過酷だった必由館での3年間。一番苦手だったトレーニングは、雨が染みこむと20キロにもなる丸太を抱えての1分間全力走20本。ほかにも、しめ縄跳び50回5セットなど厳しいメニューで、体力的にも精神的にも鍛えられたという。「ここに来ると気が引き締まる」。投手としての礎を築き上げた場所だ。
だからこそ、原点の地への感謝、恩返しへの気持ちが湧き上がった。「育ててもらったというのもあるし、まだ(必由館が)甲子園に1回しか行ってないので、役に立てるようなことをしたい」
同校グラウンドには本塁後方に照明が2機だけある。外野には設置されていないため、夕闇が濃くなるとボールを使った練習ができない。室内練習場もなく、雨天時は十分な練習もままならない。
岩貞は現段階で、打撃用ケージとマシンを寄贈する予定だ。さらに恒久的な強化に向けて、いずれは『岩貞スタジアム』と呼べるほどのスケールの大きい支援を思い描いている。この日、教え子の激励に訪れた同校の西田監督は「照明や室内練習場を建ててもらえたらうれしいですね」と目を細めた。
もちろん、夢は夢で終わらせない。岩貞は同監督の“おねだり”に苦笑いしながらも「そうできるように頑張ります。息の長い投手になりたい」と抱負を口にした。中日・山本昌らのように長く第一線で投げ抜き、母校へできる限りの恩返しをしていくつもりだ。
原点の地で恩師にも直々に示した決意。「自分に対する妥協をなくし、自分に厳しくやっていきたい」。期待の左腕が故郷・熊本から間もなく、プロの厳しい世界へと旅立つ。