呉昇桓まるで球児!6球団007驚がく
「阪神春季キャンプ」(7日、宜野座)
阪神の新守護神候補・呉昇桓(オ・スンファン)投手(31)が第2クール初日の7日、初めてブルペンに入った。「石直球」に加えて高速スライダー、スラーブ、習得中のツーシームを次々と披露した。宜野座村野球場にはセ・リーグ全球団を含む計6球団のスコアラー陣が集結。虎の新守護神に警戒を強めた。
「石仏」がついに、ベールを脱いだ。午前11時58分。呉昇桓がゆっくりと中央のプレートに、歩を進めた。テレビカメラ11台、ファン、メディア総勢、約200人の視線が集中する。蒸し暑い宜野座のブルペンが緊張感に包まれた。
第1球はもちろん、「石直球」だ。ズシリと重い剛球が片山ブルペン捕手のミットに突き刺さった。やや高めに外れたがその威力はケタ違い。さらにノーワインドアップから高速スライダー、スラーブ、ツーシームを惜しげもなく披露した。
「初めてのブルペンということで、今日はバランスを意識して投げました。感触は良かったと思う。満足しています。試合でもブルペンでも、周りの視線を感じることはない」
日本のストライクゾーンを確認しながら、計61球。一切、表情を変えることなく18分間、淡々と投げ続けた。周囲の視線をくぎ付けにしたのは、左足を着地させる寸前に生まれる独特の“間”だ。中西投手コーチは「打者からすればあそこでタイミングが取りづらくなるだろう」と分析。クイックモーションについても「MAXではないけど、タイムはまずまずだ」と及第点を与えた。
視察に訪れたセ・リーグ5球団とオリックスのスコアラー陣も、驚きを隠せなかった。巨人・森中スコアラーが「初めてだというのにすごくいい球を投げていた。ボールに力があるし、コントロールもまとまっていた」と警戒を強めると、広島・井生スコアラーも、「ボールの力としては球児ぐらいある」とかつての守護神にイメージを重ね合わせた。
新守護神が見せた期待通りの投球。斜め後方から見守った和田監督も一安心だ。「ほとんど構えたところに来ていた。制球で崩れることはなさそうだね。今までに見たことがないタイプだ」とうなずいた。
今後は2日に1回のペースでブルペンに入る予定だ。「目標はまずチームの優勝。個人成績は後からついてくる」と力強く言い切った石仏。圧倒的なオーラを身にまとう呉昇桓がV奪回のキーマンになる。