鳥谷“がに股打法”の教えに一発回答
「阪神紅白戦、紅組7─2白組」(15日、宜野座)
鳥谷敬内野手(32)が15日、紅白戦に紅組の「3番・遊撃」で出場。13日に掛布DCや金本氏から伝授された“がに股打法”で右翼席にきれいな一発を放った。視察した巨人・三井統括ディレクターは「怖い」と警戒感を強め、掛布DCは「トリプルスリーを目指せる」と太鼓判を押した。
トップをつくった瞬間、鳥谷の両膝が内に折れることはなかった。きれいな回転でバットに乗せた打球は美しい放物線を描いて右翼席に飛び込んだ。ベンチ前で掛布DCと笑顔でハイタッチ。金本氏と合作のキング打法が、いきなり効果を表した。
場面は六回の第4打席、2死から松田が投じた138キロの直球を完ぺきにとらえた。「まぐれです」と繰り返したが、掛布DCには「違和感なくできました」と納得の表情を浮かべたと言う。見守ったミスタータイガースも「踏み込んだときにすごく良い感じだった」と目を細めた。
五回の第3打席では左前にクリーンヒットを放ち、鳥谷は新打法について「意識する部分を変えているだけなのでそんなに(違和感はない)。まだ微調整が必要ですし、いろいろやってみてマイナスになることはないので」と確かな感触を口にした。第1クールから「体をきれいに回すことを意識している」と昨年までには見られなかった右方向への強い打球が出るようになった。その姿に警戒感を強めたのが開幕戦で当たる巨人だ。
三井統括ディレクターは「今年の鳥谷は良い。骨盤がきれいに回っている」と評する。「去年は3番で引っ張る打球が少なかったから怖くなかったけど、今年は怖いよ」。仮に走者が一塁にいて、鳥谷が右方向へ安打を放てば一、三塁へ好機が広がる。センターから左方向への打球が多かった昨季は、一、二塁の形が増え、後続が併殺打でチャンスをつぶすケースが数多くあった。
鳥谷が変われば確実に打線の勢いは増す。「変わる勇気が必要。今年はトリプルスリーをやるくらいの気持ちで」。掛布DCがそう力を込めるほど、虎の命運は鳥谷の姿にかかっている。