4番ゴメス先制犠飛&ダメ押し打でG倒
「巨人3‐5阪神」(29日、東京ド)
苦しんだが、食らいついて勝利をもぎ取った。阪神が2014年初勝利を挙げた。八回に追い付き、九回は相手のミスで1点を勝ち越すと、開幕から4番に座る新外国人マウロ・ゴメス内野手(29)が、左前適時打。貴重な追加点を挙げた。調整遅れで不安視されていたが、開幕から2戦連続で2打点。新4番に期待は膨らむ。
耳をつんざく歓声に感情が高ぶる。物静かなドミニカンが、感情を爆発させた。一進一退の伝統の一戦で、今季初勝利をもたらす一打。ゴメスは一塁を回ると激しく3度、手をたたいた。
1点を勝ち越した直後の九回1死二、三塁だった。「どうしてももう1点を取りたかった。とにかく前に飛ばすことだけを考えていた」。次の1点が勝負を分ける。嗅覚を研ぎ澄ました。
カウント2‐2。マシソンが5球連続で投じてきたスライダーを逃さなかった。快音を残したライナーが三遊間を破る。4番のバットで、食い下がるライバルを振り切った。
デビュー戦となった28日の開幕戦は2安打2打点。勢いは失われていなかった。初回1死一、三塁は、杉内の真ん中低めのスライダーを捉えて先制の左犠飛。2試合で4打点。内角攻めや変化球攻めにも対応し、三振も1個しかない。
わずか2試合とはいえ、調整遅れなどで活躍を不安視されていたことを考慮すれば、十分な働きを見せている。和田監督も胸をなで下ろした。「きょうはみんなが何とかしてチャンスでクリーンアップへ回そうという意識になっていた。そこでかえしてくれるので信頼関係ができている」。9年ぶりの覇権を目指す14年度版の打線に手応えを感じ取った。
異国でプレーするゴメスにとって、家族の存在が支えになっている。ドミニカ共和国で暮らす妻子とは、毎日テレビ電話でコミュニケーションを取っている。今年1月末に誕生した第1子の長女の姿で心を落ち着かせ、毎試合前に妻からは「頑張って」とエールを送られているという。精神面の安定が好結果に結びついている。
シーズンはまだ2試合が終わったばかり。だが、オープン戦に4試合しか出場していないゴメスにとっては、まだ助走期間なのかもしれない。「どんどん打席に立って慣れていきたい」。冷静な口調。落ち着き払った表情。背番号5が大きく、頼もしく見えた。